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福祉用具/住環境調整のポイント

セラピストが生活環境の整備にかかわる場合、その専門性として発揮できるポイントは、

⓵予後予測による身体機能の維持向上を目指す環境整備の工夫

(疾患特徴と動作特性を抑えた環境整備の提案)

⓶健康状態、身体機能に影響を及ぼし、重度化を予防するための生活習慣獲得のための工夫

③環境変更後の使い慣れのための動作、介助練習

 3点でした。

今回はこれらの詳細に関してお話いたします。

 ⓵の予後予測による身体機能の維持向上を目指す環境整備の工夫に関しては、医療職として医療的な予後予測と、それに伴う生活状況への影響を加味して、現状に対する環境整備ではなく、目標に向かうための環境整備の提案が行えるということです。

介護負担との折り合いを見つけながらこのあたりの検討ができれば、より元の生活に近い生活が行えます。

特に難病などの場合、疾患の進行は避けられませんので、症状が悪化してから環境整備を検討するのではなく、若干の先回りも、生活の質を担保するためには求められるところではないでしょうか。

 ⓶の健康状態、身体機能に影響を及ぼし、重度化を予防するための生活習慣獲得のための工夫に関しては、セラピストが得意とする予防という視点をフル活用できます。

生活の設定から数年後、現在の環境設定で生活した場合に、どのような身体状況、生活になる可能性があるかを予測し、どのような環境下であれば、低下を予防する、あるいは向上できるかを考えます。

すごく簡単な例では、L字バーとベッド柵による動きの違いではないでしょうか?
(これに関しては動画で取り上げていますので、よろしければご参照ください https://horcs.com/archives/1307

 ③環境変更後の使い慣れのための動作、介助練習に関しては、用具はやはりしっかり使い方をマスターしてこそ、効果を発揮します。そこまでには時間と練習、慣れが必要で、初めは違和感を感じることもあります。

セラピストはこの違和感が、不慣れによるものか、身体機能からの(リスクのある)不快感なのかをしっかりと把握することが重要です。

例えば、車いすのクッションを変更したのち、対象者が臀部に違和感を感じるというとき、変わったことによる違和感なのか、圧の変化による不快感なのかは大きな違いです。後者を放置して進めると褥瘡につながるリスクがあります。

セラピストはこのあたりから、その違和感が不慣れによるものなのか、重篤なリスクをはらんでいないかをしっかりと見極めて、用具を使いこなせるような動作指導や練習などを行っていく必要があります。 

いかがでしょうか?

今回は、前回ご紹介したポイントの詳細をお話させていただきました。

セラピストの方が環境整備や福祉用具の検討にかかわる際にはぜひ参考にしていただければと思います。

波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当