セラピストのための福祉用具や住環境の環境整備のポイント
今回は、セラピストが福祉用具や住環境整備にかかわる際に大事にしたいポイントに関してお話します。
生活期の現場においては、特に介護保険を使用した福祉用具レンタル、購入、住宅改修の現場にセラピストがかかわることも増えています。
その際、私たちセラピストはどのような視点を大事にして、多職種との連携を行えばよいのでしょうか。
まず重要となるポイントは、環境整備の目的からそれないということです。
セラピストであれば当然、身体機能に着目して環境に対する検討を行いたいというところではありますが、一番重要なことは何なのかを忘れないようにすることがまず重要です。
生活期における生活環境の整備に関しては、参加の実現、生活の継続(改善含む)、介護負担の軽減などの大きな目的があります。
これらに向けてそれぞれの職種(生活環境に関しては、福祉用具事業者が専門になる)が協働して検討を重ねていきます。
チームの一員として検討を行う場合、これらの目的からはずれないようにしなければ、話し合いになりません。
上記のことを抑えたうえで、セラピストが生活環境の整備にかかわる場合、その専門性として発揮できるポイントは、大きく以下の3つがあると思います。
・予後予測による身体機能の維持向上を目指す環境整備の工夫(疾患特徴と動作特性を抑えた環境整備の提案)
・健康状態、身体機能に影響を及ぼし、重度化を予防するための生活習慣獲得のための工夫
・環境変更後の使い慣れのための動作、介助練習
これらは、先に述べた環境整備の目的を踏まえたうえで、検討できれば非常に効果的な生活環境調整を行うことができます。
しかし、この3つが主たる目的になってしまうと、多職種から「セラピストは生活のことがわかっていない」という意見をもらってしまったり、議論に入れなかったりしてしまうと感じます。
生活環境整備は多くの職種がかかわります。
それぞれの職種が専門性を生かすためには、共通した目的は何なのかということからぶれてはいけません。
その目的を踏まえたうえで、どのように深いかかわりを行っていくのかということが重要なポイントになってくると思います。
波野優貴先生
理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当