PT小池隆二の臨床家ノート『訪問現場の実際』 問題点抽出に必要な疾患理解
今回は在宅の現場における『問題点抽出に必要な疾患理解』を説明していきます。
≪下記に該当する方は参考にしてください≫
〇高齢者のリハビリを実施している方
〇各対象者に全て同じ内容や負荷でリハビリを実施している方
【なぜ疾患理解が必要なのか】
複数疾患を有することは症状も複雑になる
近年、高齢化が進み在宅の現場では単一の疾患を有する方と比較し、複数疾患を有する方の方が圧倒的に増加してきている。
そのような状況下では、医師からのリハビリに対する処方箋(指示書)に単一の疾患のみ記載されていたとしても他の疾患の影響や症状を考慮することは必須となってくる。
例えば変形性膝関節症という疾患名に対し、リハビリ実施の指示が処方されたとしても既往歴に心不全があれば、リハビリで実施されるプログラムや負荷量は変化させなければならない。
なぜこのようなことをあえて伝えるのか。
それは今後さらに複数疾患を有する方に対するリハビリの展開が求められているからです。
現在の在宅現場においても小児や難病、そして看取りに関するリハビリの需要は広がりつつあります。
複数疾患を有する方に対応する時には、まず一つ一つの疾患の理解また各進行状況における症状の違いを押さえる必要があります。
そして次の段階として必要になることが、一つ一つの疾患が一緒になった時である。これが複数疾患を有する状態となり、一つの疾患や症状に対して良いと思われる対応方法が他の疾患や症状には良くない影響を与えることがあります。
私も看取りの方に関わる時には、上記のようなことをよく経験しており、一つの問題点は解決出来るが、他の問題点には良くない影響を及ぼすということの連続になります。
この時にいかに優先順位の見極めが出来るか出来ないかがセラピストとしての力量にもなります。
そのような内容を今後研修や次回以降に各論としてお伝えしていきます。
投稿者
小池隆二先生
理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役