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PT山口剛司の臨床家ノート その6 足部の運動観察のポイント

私は、回内方向に何回、回外方向に何回とか、回内位で傾いたまま動かないとか・・

ごく単純なんですが、これでその方の特徴が掴めます。

例えばフォワードランジの際は、前足部に荷重が集中し、かつ安定しないとうまく股関節と膝関節を均等に機能できないのですが、この際に膝関節の軌道が不安定であると、前足部の荷重機能が低下していることが予測されます。

片脚立位においても、回内位を保持したまま、回外方向への運動がほとんど見られず、体幹を支持側の下肢の方向へ傾ける運動が度々出現する場合は、

回外運動の機能が低下し、小趾側での安定した荷重ができないということが判断できます。

この場合は、フォワードランジをしても膝が内側ばかり向いていき、外側には動けないという単一的な運動機能でしか持ち得ていないということになります。

そして、この運動は、ジャンプ、カッティングなどあらゆる動作に同じような現象が見られます。

この観かたは、小児疾患や高齢者、トップアスリートでもなんら変わりはありません。よくハイレベルな身体機能の場合は、

より運動タスクを難しくというイメージがありますが、私はその必要はないと思っています。

重要な点は、色んな動作の異常性を結びつけることです。

これはPTの学生時の教育で既に嫌なほど教えられてきた内容と全く同じなのです。

基本を大切にしなければ、難しい問題は解決しません。

私は、これまでずっとこのような基本的な知識を大切にしてきました。

基本的な考え方を学ばすして、より発展的・応用的な考えには至りません。

片脚立位より、もちろんジャンプやカッティング動作の方が運動負荷という点では、大きくなり難易度も難しくなりますが、片脚立位のようなシンプルな動作評価でも、観かたと思考力を養えば、難易度の高い動作や実際の競技特性に応じた動作においても、こんな足の使い方になるだろうということは、容易に推測できます。

ですから私は、確認の意味でこの足の使い方ならば、こんな動きが苦手ではないですか? とか、こんなところが疲れやすくないですか?  という問診をすると、かなりの高確率で当たっているものです。

このような繰り返しで、より患者や選手の身体機能につて理解が深まり、そして求められる足の機能がわかります。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

理学療法士
運動器疾患、スポーツ選手の臨床が豊富で、現在はインソール作成会社に勤務している。

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。