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リハビリ視点で車いす駆動を考える

車いす駆動といいますと難渋することが多いのは片手片脚駆動ではないかと思います。

片麻痺などの障害をおもちの方が行う車いす駆動方法ですが、うまくいかずすべりずわりなどの不良姿勢を止めることができないという経験をされている方も多いと思います。

今回はこの、片手片脚駆動に関してお話いたします。

まず、片手片脚駆動は非常に難易度が高く、必要とされる能力がある程度研究などからも明らかになっています。

検査値などはあくまで指標ですので、ここでは示しませんが、重要なポイントは麻痺側荷重での座位が動的に安定していることです。

つまり、端座位の状態(端座位が自立していることは前提条件です)で、非麻痺側下肢を浮かせ、安定して動けることが必要です。

これは非麻痺側での駆動の際に、足を前に出すタイミングで、同様の状況が発生します。

この時に体幹を保持できなければ、姿勢が崩れてしまうので、この代償としてバックサポートに体を押し付けるという反応が生じ、非麻痺側の骨盤から前すべりを起こすということにつながります。

評価としては、私は端座位の状態で、支え無しに非麻痺側の下肢の挙上が安定してできるかどうか、また、非麻痺側下肢を前方に投げ出して安定して左右前後にリーチが行えるかなどを確認して、可否をスクリーニングしています。

片手片脚駆動が難しい場合、車いすの調整で何とかしようとしがちですが、身体状況として難しい方もいらっしゃいますので、当たり前のことですがその場合は、座位能力の向上や、麻痺側使用の練習などを先に行う必要があります。

片手片脚駆動に関しては可否に影響を及ぼす身体機能の評価など様々議論されていますので、ご興味のある方は一度調べてみてください。

片手片脚駆動が身体状況からどうやっても難しいという場合は、座りなおしの習慣づけでの対処や、電動車いすを使用することも大変良い手段ですので、対象者の活動と参加の向上のために広い視野で検討していくことが重要であると思います。

波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当