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PT波野優貴の臨床家ノート 電動ベッドについて考える

今回は電動ベッドの機能の整理を行ってみたいと思います。

電動ベッドには近年様々な種類があり、背上げ、足上げだけでなく、自動で寝返りの支援などを行うものも登場しています。

電動ベッドの機能は主に1モーター、2モーターなどの動きの種類で呼ばれることが多いです。 

 1モーター:背上げと膝上げが連動されて行われる。
一部連動を無くして背上げだけを行うことができる機種もある。

2モーター:1モーターの動きに加えてベッド本体の高さを変えることができる。

3モーター:背上げ、膝上げ、ベッド高さを個別に変えることができる。

4モーター:3モーターに加えて、足元が下がったり、

フレームがティルティングしたり、寝返り支援の動きをしたりできる。

 このようにモーターの数によって様々な機能を行うことができます。

 4モーターのベッドは、その機能からベッド上での生活が必要な方の場合、ベッド上での食事などの活動面への対応もできる機種です。

そのように様々なことに対応できますが、金額も高くなるためその方の身体状況、生活状況からどんな機能が必要なのかをよく考える必要があります。

身体状況としては4モーターでフレームのティルティングなどが必要だが、移乗するための環境を整えることができ、リフトの使用ができるため、車いすに離床いて食事をとることができ、4モーターの機能を使用することはなくなったという状況であれば、生活状況から必要のない機能となってしまいます。

逆に、夜間帯介助の人員が少ない、あるいはいない状況であるが褥瘡のリスクが高いという場合、自動寝返り支援のベッドは大きな効果を発揮します。

このようにベッドは寝る方の身体機能だけでなく、その方の生活状況も加味して必要な機能が決められるべきです。

よく検討されるのは2モーターにするか、3モーターにするかという点です。実際にはどんな点に配慮して選ぶかというと、2モーターと3モーターの大きな違いから考えるとわかりやすいです。

それは背上げと膝上げを個別に行うことができるかどうかという点です。

2モーターの場合、背上げと足上げは連動しています。もしベッド上で食事をとらざるを得ない身体状況の方だった場合には、背上げ姿勢で食事をとりますが2モーターの場合、背上げと膝上げのバランスを細かく調整できないため、身体状況にあった背上げ姿勢とできず姿勢を安定させることができにくくなります。

さらに2モーターで背上げと膝上げの連動を無くすことができない機種の場合は、背上げを行うと膝上げも行われるため、起き上がりに背上げを使うことは端坐位が安定しないため難しくなります。

皆さんも電動ベッドを選ぶ際には、利用者さんの身体機能と、生活状況を把握してどんな機能が必要かを検討していくようにしてみてください。

投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当