PT小池隆二の臨床家ノート 『訪問現場の実際』 ①病院と在宅における環境の違い ~医療保険と介護保険~
今回から訪問現場という『環境』にテーマをおき、その中でどのように対応し、適応し、差別化を図るのかをお伝えしていきます。
下記に該当する方は是非とも参考にしてください。
病院に勤務しており、今後在宅の現場に転職を考えている方 在宅の現場で活動しているが、楽しさが分からない方 在宅の現場で活動しており、今後さらに他の在宅セラピストと差別化を図りたい方
第一回目の今回は保険の違いに関して説明していきます。
病院は医療保険であり、在宅は主に介護保険になります。
在宅で主にというのは、訪問リハビリにおいては、医療保険適応のケースがあるからです。
上記二種類の保険によりどのような違いがあるのか。
医療保険では、脳血管疾患や運動器のように『疾患』により1単位の単位数が決まっております。
一方、介護保険では主に訪問リハビリや通所リハビリのように『提供サービスの内容や介護度』により1単位の単位数が決まっております。
また上記以外に大きく違うのは、リハビリの実施回数です。
医療保険下で働く多くのセラピストは、職場の営業日には患者に対して毎日リハビリを実施しております。
しかし介護保険下では、基本的に週1~2回の実施になります。
ここには各保険のリハビリの実施に関わる単位の算定上限の違いが関係しており、医療保険では各セラピストの一日や一週間の算定可能な単位数が決まっていることに対し、介護保険では各利用者の介護度により一ヶ月に算定可能な単位数が決まっております。
結果として医療保険では各セラピストによりリハビリの実施回数の調整になりますが、介護保険はリハビリ以外の通所介護や訪問介護など他のサービスとの調整の中で実施回数が最終的に決定していきます。さらに介護保険では結果を残さずにリハビリを続けていると利用者はお金が勿体ない、ケアマネは単位数が勿体ないということにもなり、リハビリが終了とされることも想定されます。
今回、保険の違いを説明しましたが、上記内容から考えられることは、セラピストは常に知識と技術の向上に取り組まないといけないということです。
時代が変わり、また働き方が変わってきておりますが、国家資格を保有するセラピストとして一番根本的な部分を疎かにし、一番困るのは自分自身ではなく、目の前の患者と利用者です。
投稿者
小池隆二先生
理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役