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各認知症における症状の特徴 -Alzheimer型認知症-

Alzheimer型認知症では、記憶障害が最も中核的な症状とされています。

特に近時記憶やエピソード記憶の障害が特徴的であり、会話の内容や約束事を忘れてしまったり、物を無くして探し回るといった事が多くあります。

HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)を行うと、遅延再生課題において、ヒントを与えられても正解が出にくいことも特徴的です。

長期記憶は比較的保たれている事が多く、個人の昔話では言葉が出やすくなります。

記憶障害に次いで、見当識障害・遂行機能障害・視空間障害・言語障害などが、加わりやすいと言われています。

特に、遂行機能障害は早期の段階から生じやすく、仕事や家事がうまく行えなくなるケースは少なくありませんが、ADLの障害は一定進行しきってから出現することが多いとも言われています。

視空間障害では、見慣れたはずの場所をうまく認識できず道に迷いやすくなります。

認知機能障害が進行すると、失行や失語の症状も目立ち始め、道具操作の困難さや他者とのコミュニケーションにおける支障により、役割喪失・孤立が生じやすくなります。 

BPSD(行動・心理症状)では、自発性低下・無関心やうつ状態が特に多く生じやすいと言われています。次いで発生しやすいとされている妄想は、物取られ妄想が多いとされています。

幻覚は、レビー小体型認知症でよく生じる幻視が、実はAlzheimer型認知症でも幻聴より多く出現しやすかったとする調査報告があります。

認知機能障害が中等度以上まで進行すると、徘徊・興奮・易刺激性が目立ち、落ち着きなく繰り返し行動するようになります。

進行が高度にまで至ると全般的な知的機能が障害され会話も困難となり、最終的には周囲に対する反応が得られない昏迷・昏睡の状態になります。

しかし、最終段階の少し前までは“笑う”能力が保たれるとも言われています。

 

 投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。