ブログ詳細

Blog List

排泄動作の自立度を向上させる生活リハビリ

今回は排泄動作の自立度を向上させる生活リハビリに関してお話していこうと思います。

生活リハビリに関しては定義が完全にまだ定まっているものはないかと思いますが、ここではリハビリテーション専門職による個別リハではなく、日常生活の中でケアを受ける過程で実施できること、あるいはご自身で動いていくことで実施できることを生活リハビリとして定義したいと思います。

排泄動作は主に、移動、移乗、更衣(立位保持)、座位姿勢保持、後始末、(尿便意コントロール)に分けることができます。

私の経験からは、徐々に難しくなる要因としては、移動、移乗の項目により、失敗や転倒が増加するということをよく経験します。

それとは別になにか疾患を発症し、入院した後、回復していく過程で見ると、更衣動作が難しくなってしまい、排泄動作が難しくなったという場面をよく見かけます。

能力が低下してくると、まず移動移乗が大変になり、転倒や失敗などが生じる、能力向上を目指すうえでは更衣動作が一つの壁となり自立を阻むといった様子かと思います。

ではその更衣動作の自立のためにはどのようなアプローチが必要でしょうか。

排泄に介助が必要となった場合、まず介助されるのは更衣介助です。更衣動作の自立のためにはこの大前提を変えていく必要があります。

立位の見守り、あるいは介助を行い、更衣はご自身で行っていただくことが重要となります。

この動作は通常の立位保持とは違い、ズボンの操作をしながら立位姿勢が崩れないように、しゃがみ込みを行うといったバランス能力がより求められる動作になります。

生活場面でこのような練習が行えることは個別の機能訓練の効果をさらに高めます。

まさにできるADLをしているADLにするための機能訓練といえると思います。

また、自立のためには動作指導も非常に重要です。

例えば片麻痺の方に対してよく指導される、あるいはその方が自分でたどり着いている方法としてよくあるのが壁にもたれる方法です。

非麻痺側で壁にもたれることで安定感を補償して更衣動作を行うという方もいらっしゃいます。

また前後へのバランスが不安定な方は頭を支えとして使用される方もおられます。

その場合、頭を支える壁に1㎝程度の薄いクッションなどをはるとより安定します。

忘れがちなことですが、更衣を行う際の支持基底面を広くできているかという部分は重要です。下衣更衣の際は通常足は閉じた状態で行います。

そのため余計にバランス能力を要求する結果となってしまいがちです。できる限り足は広げると安定します。

また、下腿を便器に押し当てることも後方への安定感を補償するものとなります。

通常の機能訓練と合わせてこのあたりの生活リハビリと動作指導を実践し、これまで紹介したような福祉用具も活用していくことで、排泄の自立に向けてより効率的なアプローチとなると思います。

投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当