ブログ詳細

Blog List

OT浅田健吾の臨床家ノート 自助具の作成や導入にあたって配慮すべき点

作業療法士が特に多いとは思いますが、最近では理学療法士や言語聴覚士の方も自助具を作成する機会は増えているように思います。

難病をお持ちの方が特に使用するコミュニケーション関連のIT機器が増え、機械系の知識が求められる事もあります。作業療法士も、うかうかしていられません。

私も作業療法士として在宅生活の支援をする中で、自助具を作成する機会があります。その際に配慮している点を以下に記してみました。

◆障害や弱みを補う=△ 残存機能や強みを活かす=〇

⇒ネガティブ因子のカバーはもちろん必要ですが、やはりポジティブ因子の活用は外したくありません。課題達成・動作遂行に、機能訓練や廃用防止の要素が加わる事が望ましいと思います。

◆フィット感・使用感の評価
⇒繰り返し使用するうちに、身体接触部に負荷がかかりすぎて痛みを出さないよう配慮が必要です。エッジ部分を削るなどのひと手間は惜しまないようにしましょう。使用感の評価は、複数回のみでは無く、最低でも数日間は必要です。日々の生活の中で使用するモノですからね。

◆デザイン・見た目のこだわり
⇒愛着を持つまでいけば素晴らしいですが、最低でも“心理的に遠ざけさせない”デザインであるべきかと思います。自助具を使用している自分に“病人”というイメージは出来る限り持たせたくありません。

◆速性、効率、実用性
⇒日々の連鎖する生活動作の中に浸透するか?という視点は非常に重要です。入院中やリハ中には使用するけど、退院後や実生活内では使用されていない・・・なんて事は、結構あります。

◆管理の仕方
⇒収納方法、衛生面、劣化・紛失時の対応等についても考えなければいけません。食事や調理に関わる自助具が黒ずんでいたりカビだらけだったり・・・ぞっとしませんか?

◆状態変化に対応し得る自由度
⇒日差・日内差や病態の進行等にあわせて、ある程度対応し得るものが望ましいと思います。調子のいい時、限られた環境や介護者でしか扱えないモノだと、少し勿体ないですね。◆福祉用具の廉価版では無い
⇒ローコストだけが取り柄では×です。個人に合わせてオーダーメイドできるのが自助具作成のメリットです。

◆材料・製作費の捻出元はハッキリと

⇒療法士が負担してくれる事は患者・利用者からすればありがたいですが、自助具作成・提供は立派な業務です。 

以上、参考になりましたら幸いです。

投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
セミナー講師

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。