PT波野優貴の臨床家ノート 福祉用具選定に関わる際のチームの一員としての視点 Part②
今回は福祉用具にセラピストが関わるうえで大事にしたい視点Part②(レンタルか、購入かについて)ということでまとめさせていただきます。
福祉用具を実際に提供するにあたり、介護保険を使用する、しないという視点もありますが、レンタルか購入かという視点がありますが、皆さんは、病院からの退院時、車いすを購入するかレンタルするか聞かれた際に、どのようにお答えしておられるでしょうか。
少し、悩む部分もあるのではないでしょうか。
私自身は、介護保険レンタルが使用できるのなら間違いなくレンタル、自費でのレンタルとなるようなら身体状況の安定具合に応じて検討する方がよいのではないか、と考えております。
介護保険での福祉用具が貸与となっている背景には、病気の改善、悪化などで身体状況や生活が変化しやすい状況の要介護状態の方に対して、その都度現状に適応した福祉用具が使用できるように、体のサイズに合ったものを提供できるように、という考えがあります。
これはもっともなお話で、普通型の車いすを買ったが、病状が進行しADLが全介助レベルになった時に使えなくなってしまうということはよくあるからです。そんな時レンタルであれば問題はありません。
しかしここで注意したいのが、これが介護保険を使用していなかった場合です。施設に入居されている方や、介護保険点数が上限いっぱいの方などは自費レンタルという形で福祉用具を手に入れる方もいらっしゃるでしょう。
基本的には、介護保険を使用して支払うお金の10倍がかかってしまいます。こうなってくると購入した方がよいのでは?という考えに至ります。
ではどの程度、使用することを見越すと購入した方が安くなってくるのでしょうか。
基本的には、福祉用具業者は約2年程度で元金となるように貸与金額を設定していることが多いです(※あくまで私の経験でのお話ですので、すべての業者がそうとは限りません)。
ということは状態や予後から考えて、2年は使用するのでは?と予想される場合には購入した方が安いということが考えられます。
上記の視点をふまえて、セラピストは本人様、家族と何をレンタルすべきか、購入すべきかについて検討すべきであると考えます。
この時セラピストには病状から考えられる生活の予後についての知識が必要となってくることは言うまでもありません。
(最近は中古で福祉用具を販売している業者もあるため、上記以外の選択肢もあるとは思いますが、安全性が十分に検証されているかどうかは確認するようにしてください。)
次回は、その道具、福祉用具でないといけないのか?市販のものではいけないのか?ということについて書かせていただきます。
投稿者
波野優貴先生
理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当