高齢者と薬について
今回は、高齢者と薬についてお話をしていきたいと思います。
皆さんは担当されている利用者の方の服薬の情報はしっかりと把握されていますでしょうか?
私たちにとっては何気ない服薬でも高齢者にとっては、非常に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ICFにおける健康状態に入る部分になりますので、当然ながら身体機能、その他に大きな影響を及ぼすものです。
リハビリテーションを提供するリハ職は、服薬状況に関してしっかりと把握しておく必要があります。
一般的に、高齢者は、若年者と比べ服薬の影響を受けやすいといわれています。
その理由は、体内の水分量の低下により薬物の濃度が濃くなってしまうこと、肝機能や腎機能などの低下により代謝/排出の機能が低下すること、消化管の能力低下により吸収が遅いことが挙げられます。
また、高齢者の場合、主疾患のほかに併存する疾患も多く、服薬量が多くなってしまうこともその要因となります。
これらは、作用が強く出る可能性ということももちろんですが、より危惧されなければいけないことは生活への影響です。
リハ職は生活機能への介入を行う専門職ですので、その介入も服薬により大きく影響を受けるということになります。
服薬内容によって、リハ中にリスク管理すべきことも変化しますし、どのような影響があるかによっては訓練の内容も変化するはずです。
担当の利用者の方の服薬状況に関して
まずは今飲んでいる薬について作用と副作用から、
なぜ処方されているのかを把握すること、
いつからそれは処方されていて、
効果はどうであるのか、
そういった部分の情報収集を行い、
身体機能、活動への影響を検討することで、
必要な訓練内容や、環境整備が検討できると思います。
生活期においては、かかわる時間が短くなりますので、服薬状況はその方の生活状況を予測する上でも有効なものとなります。
ぜひ、どのような薬をいつから、どのタイミングで飲まれているのか、確認してみていただければと思います。
投稿者
波野優貴先生
理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当