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PT山口剛司の臨床家ノート その7 立位姿勢における足部回内・回外とアーチの関係

立位姿勢では、主に足の形と骨配列つまりアライメントを観察します。

例えば回内位なのか、回外位なのか、少し細かくいいますと、後足部が回内か、前足部が回内か・・・などいくつかのパターンがあります。

ここで手がかりになるのが、アーチの高さです。

特にわかりやすいのは、内側のアーチが高いか低いかは比較的わかりやすい指標になります。

つまりは、内側縦アーチが低くなると床との隙間が小さくなっている状況です。

この場合は、足部は中足部や前足部で回内位の可能性が高く、後の片脚立位やフォワードランジ動作においては、さらに回内位が強まる可能性があります。

横アーチの平坦化は、前足部のみが回内位を呈していることが多く、母趾外反を併発している場合が多くみられます。

アスリートの多くはこの横アーチは平坦化しているケースが多いのですが、回内方向への可動性が大きくなるという特徴は、言い換えると母趾側でのスムースな荷重移動を可能にすることもあり、機能的変形というプラスの捉え方もできます。

つまりは、横アーチが低いからダメ、内側アーチが低いから高くする・・・というのは、大変危険な考え方になります。

横アーチを高くしすぎるような対処は、逆に身体運動の阻害因子となっていることに気づかなければなりません。

立位姿勢のみの観察の段階では、まだ推測の域なので、あくまでこの立位姿勢だけをみて、どうのこうの・・・ではないのです。

姿勢は変化することに意味があるわけで、動いた時にどうか?を観察しなければ、その方の普段の身体機能を正確に捉えることはできません。

足以外の観察ポイントは、すでにあらゆる医学書に記載してあるメジャーな視標で十分です。

体幹の傾きや肩峰のライン、脊柱、腰椎の前弯など、わかりやすい特徴だけで十分ですが、なぜこのアライメントをとっているのか?を考えながら観察することを忘れてはいけません。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

理学療法士
運動器疾患、スポーツ選手の臨床が豊富で、現在はインソール作成会社に勤務している。

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。