人の褒め方ついて
臨床場面では対象者の方を、職場では同僚や部下・後輩を、意識的に「褒める」ことがあるかと思います。
仕事の場面以外であれば子育てや男女関係においても、「褒める」「称賛する」ことは大切さが示されることは多くあります。
実際に、「褒める」ことは動機付けに影響し、課題に対する努力度は増したという研究結果があります。(ただし一方で、自分に意識が向きすぎてしまい、技術を要する課題では成績が低下する可能性も示されています)
また、褒められたり承認される頻度が多い人は、仕事の生産性やテストの成績が向上しやすいというデータもあります。
では、どのように褒めると良いのでしょうか?
効果的とされる褒め方の中から3つを以下に示します。
何に対しての褒めであるかを明確化・強調する。
⇒ 褒めの対象を、褒められている本人自身に帰属させる。
行動を促すよりも、能力を評価する。
⇒ 比較対象を用いて、本人の能力の高さを示す。
結果や過程を褒める。
⇒ 漠然と人物として褒められるよりも、結果・過程を褒められた方が、自己評価は高い。
また、挑戦しようという意欲も高まりやすい。
例で示すと以下のようになります。
〇:今回の●●は、予測を上回る結果だった。素晴らしい。
特に、君が行った■■(過程)での▲▲(本人の頑張りや工夫)が影響したんだと思う。
×:きちんと上司の指示通りにできたから、この結果になった。えらい。
〇のように「何を褒めているか」が具体的に示されると、その内容に説得力がもたらされます。
こうした説得力のある内容は、褒めのような肯定的なフィードバックに限らず、否定的なフィードバックにおいても同程度の効果が期待できるようです。
このように、褒めには様々なメリットがあるようですが、注意すべきポイントもあります。
漠然とした「中身の無い褒め方」は、かえって相手に不信感を与えかねません。
(例:あの人、誰にでも同じこと言ってるなぁ。きっと本音じゃないんだろうな…。)
思ってもいないことや事実ではないことを、いくらキレイな言葉に変換したところで、人の心には響きません。
たとえ小さなことであっても、その行動を「見てくれていた」という事実と、
心の底から共に喜んでくれる存在が、人を原動力に繋がるようです。
参考:「ほめ」に関する心理学的研究の動向 ,目白大学 心理学研究 第10号 2014年 93−104
澤口 右京(目白大学大学院心理学研究科)
渋谷 昌三(目白大学社会学部)
投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩
平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。