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OT浅田健吾の臨床家ノート 作業療法士が取り扱う“作業”について

作業療法とは何か?

作業療法士であれば、必ず聞かれたことがあるはずです。

また、理学療法士や言語聴覚士の方は、お聞きになられた事があるのではないでしょうか?

まず、単純に考えてみましょう。

“作業”を使った“療法”が、“作業療法”ですよね。

では、“作業”ってなんでしょう?

作業=ADL?手工芸?手を使った活動?物を使う事?

すべて、正解にも不正解にもなり得ると思います。

日本作業療法士協会による『作業療法の定義』(平成30年改定)をみてみましょう。

『作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。』

「じゃあ、何でもいいじゃん。」と思った貴方。

あながち間違ってもいないのですが、“不十分”です。

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注釈の一部をみてみましょう。

・作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。
・作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。

注目すべきは2つ目です。『個別的な目的や価値』というワードが入っています。定義本文にも『対象となる人々にとって目的や価値を持つ』という同様のワードがありますね。

これが、とっても重要です。

つまり、

人が生活する上で行う活動はどれも“作業”になり得るけれども、

その人(対象者)にとっての“作業”とは、

その人ならではの、目的や価値や意味を持った活動(の集合体)を指す。

という事なのです。

作業療法士は“作業”を、心身機能の回復・維持・低下予防の“手段”として取り扱う事があれば、出来るようになる為の“目的”として取り扱う事もあります。

“作業”と“活動”の違い、わかって頂けましたか?

投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
セミナー講師

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。