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PT小池隆二の臨床家ノート『訪問現場の実際』 終末期リハビリテーション⑧ セラピストは運動処方のみが役割ではない

≪下記に該当する方は参考にしてください≫

〇これから終末期に関わりたいと思っている方

〇終末期にリハビリテーションが必要なのか分からない方

 

【終末期リハビリテーションのポイント⑧】

セラピストは運動処方のみが役割ではない

今回は終末期における精神面について説明していきます。

終末期に関する精神面は現場に立ち会うことでしか理解出来ないことの方が多いと思います。

しかし、何も意識せずに現場に向かうのか、様々な状況を考えた上で現場に向かうのか、この少しの準備の違いが現場での対応に大きな差を生むのだと感じております。

また、現場での対応に関しては、いかに状況に応じた立ち振る舞いが出来るのかということが大切になってきます。

終末期ではその時々で対象者の方の精神状態は大きく変化します。

前回、セラピストが対応した時は良かったから、今回も良いというものではなく、一日の中でも起床時が良かったからといってセラピストが対応する時も良いということもありません。

その背景にはやはり『障害受容』が関係しております。

障害受容とは様々な定義がありますが、『ショック期』『否認期』『混乱期』『解決への努力期』『受容期』の5段階の定義で考えると対応がしやすいと思います。

終末期だから全対象者の方が『受容期』ということではありません。

また、一度『受容期』まで到達したからといって、その後『受容期』の状態が続かないこともあります。

その理由は日々心身機能やADL等が低下していく、昨日まで出来ていたことが今日出来なくなることもあるので、その時には『ショック期』まで障害受容の段階が変化することもあります。

だからこそ対象者本人とのコミュニケーションも大切ですが、対象者の方の家族とのコミュニケーションも大事になってきます。

私たちが関われる時間は生活の一部分であり、毎日接している家族はより詳細な状態を把握していることが多くあります。

このように日々変化が生じる精神状態に対しては、傾聴や共感、そして相手のことを受け入れる受容ということが大切になります。

その他、セラピストに必要な立ち振る舞いでは、表情や声量、会話の速度、立ち位置(相手との距離感)、相槌の打ち方などがあります。

セラピストの返答する『一言』により精神状態に大きな変化をもたらすこともあるので、その都度、責任を持った行動が求められます。

投稿者
小池隆二先生


理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役