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PT山口剛司の臨床家ノート㉔ ハイアーチと後脛骨筋

今回は、ハイアーチと後脛骨筋について考えていきたいと思います。

後脛骨筋は、足部の内側に位置しており、舟状骨や楔状骨、立方骨や中足骨にも付着しており、足部回外、足関節底屈運動の作用を持つ筋肉です。

またアーチ形成でいうと内側縦アーチを形成することが知られており、この筋肉の機能不全によって、扁平回内足が形成されることがあります。

この後脛骨筋は、回外運動という作用によって、内側縦アーチや横アーチの後方部を形成するのに重要な役割がありますが、短縮という機能不全の状態になりますと、回外位を持続的に保持するという状態となり、結果的にはハイアーチの状態を形成してしまいます。

また、筋が弛緩したような状態の機能不全では、回内方向への制動ができないため、扁平回内足やそれに付随した外反母趾や開張足を招くことになります。

ハイアーチのアプローチの場合は、後脛骨筋は短縮などの伸張性が低下した状態になっていることが推測されますので、ストレッチングが必要になります。

この時の評価指標としては、足関節の背屈の他動運動になります。

背屈他動運動については、外転軸異常が有名で以前に本邦でも述べていますが、今回は、背屈時の回外内転方向への運動が伴うことがポイントです。

特に背屈0゜以降の可動域で内果周囲が十分に伸張しない場合があります。

これは後脛骨筋の短縮などが考えられ、伸張することで改善します。

意外かもしれませんが、後脛骨筋については機能不全に陥ることで、荷重点は回内にも回外にも偏位することがあり、機能改善によって荷重点を移動させやすくします。

その荷重点は、第5中足骨骨幹部あたりでの荷重点で最も筋活動を誘発しやすく、動作においても重要な荷重点位置と捉えています。

この筋機能を改善するために、可動域練習など徒手的介入はもちろんのこと、インソールやパッド、テーピングなどあらゆる外的刺激を加えることで、活動しやすい環境を整えることが重要です。

次回はハイアーチに対するテーピング誘導を記載します。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

Altruist 代表
理学療法士
フットケアコンサルタント

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。