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リハビリ職種が知っておきたいポータブルトイレの機能について

みなさんこんにちは。

在宅リハビリテーションケアスクール登録講師の波野です。

前回に引き続き今回はPトイレに関し、その機能についてみていこうと思います。

Pトイレといっても本当に多くの種類が世の中には存在しています。基本的な機能としては、「けこみ」(これは本当に大事です)、アームサポートの跳ね上げや昇降、座面の昇降などになります。

そこに追加される形で、温かい便座、ウォシュレット、排せつ物のにおいに配慮したもの、ラップで排泄後の処理を行いやすくしたもの等々存在します。

「けこみ」についてですが、こちらはなぜついているのでしょうか?これはもちろん立ちすわりのしやすさに関連するものです。

足が引けることで立ち上がりの際の、重心移動を行いやすくするもので、通常の洋式トイレもこの構造をしています。

しかし、中には一番右端のような構造のPトイレも存在します。

この形状は、手すりがなくても立ち上がりが自立しているような方でなければ、使うことが難しくなることもありますので注意が必要です。

ほかの機能として、便座の穴の大きさの差や、座面の形も注目するべきポイントです。便座の穴の大きさは各商品により微妙に違いますので、使う方の体のサイズに応じて検討する必要があります。

また、座面の形は、足の間に凸部分があり、足を開いて安定して座れるような設計のものがあります。

股関節の機能が問題なければ、支持基底面が広がり安定しやすいですが、股関節の可動域制限や周囲の筋肉の筋緊張が高い状態があると、足が開かれすぎてしまうことで、体幹の前傾を阻害してしまうこともあります。

主に介助下で使用する状況の方に起こる可能性のあることではありますが、体幹の前傾が阻害されれば、肛門と直腸の角度が鈍角となりにくくなるため、排便には不利な姿勢となってしまうので、注意が必要です。

また、ものによっては座面の角度を変えることができるものも存在します。座面を後傾させたり、前傾させたりすることができます。

前傾すると、お辞儀した姿勢をとりやすくなり、後傾すると安定して座ることができるようになります。

しかし、ここでも先述した排便姿勢に関しては、後傾ではお辞儀ができにくくなってしまいますので、注意が必要です。

セラピストとして、どのような商品にどのような機能がついているかということまで把握する必要はないかと思います。

しかし、排泄動作の何が難しいため、Pトイレが必要なのか、またその難しい部分を補うためにはどのような機能があればよいかという部分は、動作分析、身体機能評価から把握する必要があります。

それらの情報共有をもとに多職種で必要なものを選択できると、対象者にとってよりよい選択につながっていくと思います。

 

 

投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当