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PT山口剛司の臨床家ノート その8 片脚立位と足部の評価

片脚立位の観察の詳細なポイントを説明します。

片脚立位は、大変シンプルな運動タスクですが、観るポイントを工夫すればいろんなことが推察できます。

とりわけ、足部に関しては運動方向の特徴が出てくるため、同時に荷重点位置の特徴も把握できます。

また、意外にもこの片脚立位は明確な観察指標というのが、言われていないので、その観察ポイントを述べていきます。

前述したとおり、立位姿勢の観察からその特徴を頭にいれておくことが重要です。

つまり立位姿勢→片脚立位になった時にどんな反応が出るか?、つまりアライメントがどう変化するかを観察します。

ここでいう片脚立位の運動規定は、遊脚側の下肢は股関節70゜から80゜程度屈曲することです。

口頭示指としては、これのみです。

遊脚側の上がる股関節角度が不十分ですと、姿勢制御に関する身体機能が十分に描出されません。

つまり簡単にできてしまう運動タスクは良くないということです。 

股関節をしっかりと曲げて下肢をあげた状態をキープすることで、支持側下肢と体幹は、姿勢保持をするのにかなりの負荷がかかります。

この時のポイントは、体幹・頸部は正中位保持ができ側屈や回旋などの動揺とみられる運動は、マイナス要素として捉えます。

この時、上肢での運動、肩外転などで平衡を保とうとする動きもマイナス要素です。

股関節でいうと内転外転の運動が大きく起こらないことや、支持側の膝関節が曲がってしまうことも良くないパターンです。

そして、肝心な足部の観察は、軽度な回内外運動がみられることが重要です。

ここは動かないよりも、少しは動くものなのです。

これも程度が難しいのですが、大きく回内外が出ると運動の連鎖が体幹まで伝わってしまいますが、細かい運動ですと足部内の運動のみで平衡を保つことができます。

もう一つポイントは、軽度の小趾側荷重であることです。

足部は、一般的には母趾側荷重や母趾球荷重が良いと強調されている印象ですが、大きな間違いです。

これは、大きな駆動力を発揮するときは良いのですが、それ以外ではマイナスに働くこともあります。

次に足趾は、屈曲することは良いのですが、MP関節の屈曲はプラスの要素で、IP関節の屈曲は、マイナス要素として捉えます。

少しの違いですが、これで足の機能は大きく変わります。

IP関節が屈曲して足をロックしてしまうと、外在筋優位という筋活動になるためか、足の動きはロックされた状態となり柔軟に対応できない不器用な足になります。

それに対してMP屈曲タイプでは、内在筋優位の筋活動で、足の柔軟な運動を引き出し、安定した姿勢を保つことができます。

 

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

理学療法士
運動器疾患、スポーツ選手の臨床が豊富で、現在はインソール作成会社に勤務している。

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。