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PT楠貴光の臨床家ノート 肩甲骨の機能を運動学的に考える その5

前回に引き続き、『鎖骨をしっかり捉えて、触診する』というテーマで、鎖骨の近位端にある胸鎖関節の触診について、お話をさせて頂きます。 

前回のおさらいですが、まず、鎖骨の上縁/下縁を人差し指で沿うように触診し、その形状を確認してみて下さい。

これで鎖骨の大まかな形状が把握できます。

 

 ・『胸鎖関節の位置の確認』

鎖骨の上縁を内側方向に沿って触診していくと胸骨に近づくにつれて前方および上方への膨らみを感じられ、鎖骨の内側端となります。

 鎖骨の内側端の横には胸骨柄があり、その上縁に指先を当てると窪みを感じられます。

これは胸骨柄の頸切痕と呼ばれます。 

この鎖骨の内側端の膨らみと、胸骨柄の頸切痕の間に胸鎖関節があり、指先を立てて触診することで、その位置を明確に把握することができます。 

 ・『胸鎖関節の運動の確認』

胸鎖関節の運動の確認には、鎖骨の内側端と胸骨柄の頚切痕に、示指および環指などを各々当てて確認します。

肩甲胸郭関節にて肩甲骨を挙上/下制、外転/内転などの方向に動かしてみて下さい。

このとき肩甲骨の動きに伴って、胸鎖関節を軸とした鎖骨の運動が感じられます。 

胸鎖関節の関節可動域練習をおこなう際も同様に、一方の手で胸骨柄を含めた胸骨をしっかりと固定し、他方の手で肩甲胸郭関節での肩甲骨の動きを他動的に誘導します。

胸鎖関節を軸とした鎖骨の運動をしっかりと触診で確認します。 

何気なく胸郭上の肩甲骨の動きを誘導するだけでなく、鎖骨の形状や胸鎖関節、さらに胸郭、肩甲骨の形状をイメージすることが、胸鎖関節の運動や可動性を評価する際のポイントになります。

 

投稿者
楠 貴光先生

六地蔵総合病院 リハビリテーション科
上肢機能に関する学会・論文発表が多数
臨床と研究を組み合わせて高いリハビリテーション効果を出している若手臨床家