PT山口剛司の臨床家ノート その19 背屈方向への制限因子について
足関節の背屈可動域の拡大の際には、運動の方向、関節運動軸を意識して行う必要があります。
これは、足関節に関わらず、全身の関節に対しても運動の軸を意識することが大切です。
では、足関節では距骨の運動方向を意識して、図のような方向に真っ直ぐ反らすということを意識して、他動的に関節運動を行うことが重要なポイントです。
しかし、この際に軟部組織が邪魔をして、うまく良い方向に動かせない場合があります。
その際は、内果と外果周囲の筋肉や腱の緊張を確認すると良いでしょう。図のように内果と外果の周囲には、ちょうど突起した骨を取り巻くように筋腱が多数走行しています。
外側で言えば短腓骨筋や長腓骨筋、内側で言えば、後脛骨筋や長母趾屈筋や長趾屈筋が走行し、足関節の回内外の調整をしながら絶妙な運動ができるように活動しています。
この筋肉は、足底圧の位置によって筋活動が大きく変化するため、偏った足底圧を有する足の場合は、内側か外側どちらかの筋肉の持続的筋収縮を招き、結果として伸張性の乏しい硬い筋肉になることが多々あります。
最終的には、足底圧を調整する必要があるのですが、一度硬くなった筋肉は、なかなか柔らかくなりません。
そのため、まずはセラピストが徒手的に硬くなった筋肉に対して直接刺激をすることで、改善に導けることがあります。
執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister
Altruist 代表
理学療法士
フットケアコンサルタント
足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。