OT浅田健吾の臨床家ノート 更衣動作について その3
高齢者や脳卒中片麻痺を呈しておられる方々の多くは、異常姿勢によって体幹の可動域制限が生じており、上衣更衣動作を阻害します。
特に目にすることが多い胸椎の過剰後湾や腰椎の平坦化(前弯↓)で考えた場合、頚部・体幹・肩甲帯のアライメント異常により、頚部の伸筋群や僧帽筋上部線維、内腹斜筋上部線維、大小胸筋、肩甲挙筋等が短縮しやすいようです。
一方で、頚部屈筋群や上部脊柱起立筋群、外腹斜筋、僧帽筋中・下部線維、菱形筋等が弱化する可能性が出てきます。
上記により、頚部屈曲や体幹伸展・回旋・側屈は制限され、上衣着脱時の“衣服へのもぐり込み・抜け出し”や袖通し時のリーチ(体幹の回旋が阻害されるので)のしづらさが生じます。
座位・立位のバランスが十分に安定していない方であれば、内定外乱に加えて視界を遮られる事で過度に緊張を高めた姿勢保持となり、上記の可動域制限はより強くなることが予測されます。
器質的な制限範囲と、姿勢制御の仕方によって助長されている制限範囲を評価する事で、適切かつ効率的なアプローチに繋げたいと常々考えています。
投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。