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PT波野優貴の臨床家ノート 福祉用具選定に関わる際のチームの一員としての視点Part③

本日は福祉用具選定に関わる際のチームの一員としての視点Part③をお話したいと思います。

Part①、②に関してはURLを参照ください。(https://horcs.com/archives/832

今回は実際に選定に関わる上で、必ず確認すべき点についてです。 

結論から申しますと、『適応(不適応)となる身体状況の条件』と、『生活上でのニーズの把握』を必ず行う必要があるということです。

当たり前では?と思われた方も多いかもしれません。 

ここでの適応とは、『Pトイレはトイレに行きにくい方が使用する』というふうな【活動】と【環境】だけを結び付けた適応ではなく、【身体機能】、【個人因子】、【参加】、までを結び付けることのできた適応です。

これを知るには日ごろから目にする福祉用具がその方の生活のどんな困りごとを解決していて、またなぜその困りごとが生じているのかの分析からその福祉用具がその理由を補っているかを考えておく必要があります。
(展示会などに出向いて、直接メーカーの方とそういった部分をディスカッションするのもいいと思います)

 

しかし、ふと実際に現場での福祉用具選定の現場に目を向けてみると、『トイレに行く際に転棟が多いからPトイレ』、『ベッドから立ちあがりにくいからL字柵』、『歩行が不安定だから歩行器』ということは非常に多くあると考えられます。

なぜ立ち上がりにくいのでしょうか?その立ちにくさを本人様はどうとらえていて、そのことによってどんな生活での困りごとが出ているのでしょうか?もしかすると膝が痛いのかもしれません、もしかすると円背であり、お辞儀ができにくいのかもしれません。

それによって、転倒の不安を抱えてしまい、ベッド周辺での生活となる可能性もあります。もし膝が痛いのであれば、ただ単にL字柵をつけるよりはベッドの高さの調整の方が効果的なこともありますし、お辞儀ができにくいのであればより前方で手すりが持てるように、起き型の手すりの方がよい場合もあるかもしれません。

このようにそのADLが難しい背景にはどんな身体機能(あるいは精神機能)の低下があり、それによってどんな生活の困りごとが生じているのかを知らなければ、必要な福祉用具は選択できません。

ぜひ、皆さんの関わっておられる福祉用具を使用されている方についてもその福祉用具が活動と環境だけを結び付けた結果ではないかどうかを確認してみてください。

もしかするとその方の新しいニーズやできることなどの発見があるかもしれません。

投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当