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PT山口剛司の臨床家ノート 足の診かたシリーズ その3 扁平回内=悪い とはならない

足の形は、多数の骨といくつかの特殊な関節により、実に複雑な構造となっています。

この複雑な構造だからこそ、多様な形に変化しうる機能を有しており、あらゆる地面の形状や硬さに柔軟に対応することかできます。

しかしながら、この足の運動機能については個体差が大きいのも特徴です。個体差とは、つまりは足部の関節可動域や筋力の違いです。

足の評価で有名なのは、足の各アーチの状態がどうであるか?で判断することがありますが、意外かもしれませんが、私はこのアーチの有無のみで、足の良し悪しを判断することはありません。

むしろアーチだけで判断すること自体が、ナンセンスなことだということを色んなセミナーで公言してきました。

前述したように、足は地面のあらゆる形状に対して、柔軟に対応するという特徴があるので、時には固くしたり柔らかくしたり、アーチを高めたり低めたり、つまり環境によって様々な変化ができる優れた部位と言えます。

このことから、例えばアーチを敢えて下げて、扁平回内足を作ることで接地面積を拡大し、安定しようとする働きが必要な場面もあるわけです。

そう考えますと扁平回内足 = 悪い という思考になるでしょうか?

これは、機能的変形という良い形状変化なので、肯定的に捉える必要があります。

もちろん扁平回内足が悪い影響を及ぼしているケースもあるため、全てが肯定的な評価ではないのですが、逆にアーチ破綻には、肯定的な考え方もあるという選択肢もあるということが重要です。

次に足の形状変化、アーチ構造と荷重点位置についてお話します。

足の形は容易に変化させることができます。

つまりこれは、アーチを高くしたり低くしたりすることが随意的にできます。

具体的な方法としては、足底圧の荷重点を移動させることです。足底圧という言葉が聞き慣れない方は、荷重時に足の裏の中で、荷重がどのように分布しているかを示す用語となります。

この中で私は、最も圧が集中している位置を荷重点位置と呼んでいます。

荷重点位置が足底の外側(小趾側)にあれば、足は硬い状態となり、内側アーチが高くなります。逆に足底の内側(母趾側)にあれば、足は柔らかい状態となり、内側のアーチは低くなります。

このように足は荷重点位置の変化によって、ハイアーチやローアーチなどを容易に作り出すことができます。

優れた足は、この荷重点位置を自由自在に操り、姿勢保持も同時に安定させうる機能を有しています。

次回はこの荷重点位置のさらに具体的な説明をします。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

理学療法士
運動器疾患、スポーツ選手の臨床が豊富で、現在はインソール作成会社に勤務している。

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。