PT山口剛司の臨床家ノート その21 背屈方向への可動域拡大のための徒手操作②
今回は、外側組織への徒手操作について説明します。
外側には、図のように腓骨筋が走行しています。
腓骨筋は短腓骨筋と長腓骨筋があり、どちらも重なり合うようにしていますが、短腓骨筋の方が腓骨側に近く平べったくなっており、その上に細い長腓骨筋が乗っかっているようなイメージです。
これらの筋の作用としては、足関節の底屈、足部外転・回内の作用があります。
そして、むそれぞれの細かい役割としては、短腓骨筋が足関節底屈位での外転、第五中足骨の安定化を担い、小趾側荷重機能を補助する役割があります。
長腓骨筋は、長くて強い力を発揮する特徴を持ち、意外にも内側の第一中足骨に付着しているため、横アーチを作ったり、強力な回内作用を作り出し、母趾球での荷重を促す役割があります。
これらの筋は、関節運動によるストレッチングはできますが、直接的に徒手による刺激の方が、容易にアプローチできます。
徒手操作としては、腓骨筋を後外方から腓骨方向に圧迫をすること、その後さらに腓骨から腓骨筋をはがすように筋と骨の溝を狙って圧迫を加えるようにします。
このようにして、腓骨筋群をうまくリリースすることで、緊張の緩和と収縮機能を改善するための準備が整います。
また、緊張の緩和により、足関節背屈方向の可動域が拡大するのと同時に運動軸の補正が確認できるはずです。
執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister
Altruist 代表
理学療法士
フットケアコンサルタント
足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。