高齢者介護の大問題 転倒
介護現場に努めるセラピストであれば、一番かかわる、頼られる機会の多い課題ではないかと思います。
高齢者の転倒に関しては、昨今様々な文献からおおむねそのリスク因子や、比重などが分かってきています。
最近こちらのブログ(https://horcs.com/archives/5112)で紹介した薬などもかなり比重の高いリスク因子です。
そういったことが多くわかってきたことで、セラピストは転倒予防にかかわるうえで、リスク因子を一つずつ評価し、対策を考えているかと思います。
しかし、実際の現場ではそれだけでは転倒が減らないということも経験されるのではないでしょうか?
(もちろん転倒を完全に0にすることは生きている以上不可能ですので最小限にできないかというお話になります)
私は現場においては、転倒予防と対策をしっかり分けて考える必要があると考えています。
・転倒予防⇨今後、新たな転倒が起きないようにすること(転倒リスクを上げる身体機能へのアプローチや、一般的なバリアフリーなどの環境整備など)
・転倒対策⇨起こった転倒の要因を分析し、同じ要因の転倒が起こらないようにすること
(行動目的やタイミングから、薬、タスク、環境等どこに問題があったのかを検討し対策すること)
このように分類して考えた時、文献上明らかになっているものは主に、転倒予防に資する情報ということになります。ですので、これだけでは、現場で起こる転倒、特に繰り返すような転倒に対しては、不十分であるといえます。
転倒予防だけでなく、一つ一つの転倒の情報を整理し、対策を講じていくことを両輪で実施することで、初めて転倒に対応ができると考えられます。
転倒予防はしっかり行っているのに、担当されている利用者の方の転倒が減らせない、防げるものもあるのでは?と思われる方は一度、個々の転倒の報告から情報を整理し、対策も実施してみてください。
投稿者
波野優貴先生
理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当