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OT浅田健吾の臨床家ノート 更衣動作について

身障回復期や老健、訪問系の療法士が比較的対応する事が多いかもしれない『更衣動作』について、しばらく触れてみようと思います。 

何故かはよくわかりませんが、『更衣動作』について療法士は、動作の手順・方法や衣服の構造・種類に関心を向けやすい印象を受けています。

しかし、この動作を考える上での主たる対象は、やはり患者・利用者の身体であるべきと考えます。

上衣の着脱を考える上で、上肢機能・リーチはもちろん必須項目です。被り・袖通し(抜き)・身ごろの操作等、全ての行程において上肢・肩甲帯や胸郭の柔軟性がキーとなります。

これに対して下部体幹は“安定性”が求められる為、上衣の操作であるからと言って座位・立位の姿勢を無視する事も出来ません。

上部・下部の関連・相互作用を考えた時、「ひとまず座位は保持可能であるから…」というだけでは済まされない事が多くあるのです。

どういう事かというと、諸動作を行う上での座位・立位は“機能的”でなければなりません。

例えば座位が機能的である状況とは、『頭頚部が動かせる』『手(上肢)が扱える』『寝ていける』『立ち上がれる』といった事が行えて、なおかつ転倒せずに保持し続けられる状況です。

衣服で視界が遮断されたり、視認できない部分へのリーチや手先の操作を要求される更衣動作は、このように“機能的”な座位・立位と上肢操作との関わり・繋がりについてよく検討すると、課題の分析に広がりが生まれると思います。

投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
セミナー講師

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。