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OT浅田健吾の臨床家ノート 目標設定のポイント 活動・参加の支援方法

病院であっても在宅支援であっても、リハビリテーションを展開する上で「活動・参加」というキーワードは昨今非常に良く耳にされるかと思います。

 『リハビリテーションの展開と3つのアプローチ』という資料では「介護保険においては、心身機能のアプローチのみならず、活動・参加へのアプローチにも焦点を当て、これらのアプローチを通して、利用者の生活機能を総合的に向上・発展させていくリハビリテーションを推進している」とされています。

この「活動・参加に焦点を当てたアプローチ」が推進される理由は「回復する根拠も無くダラダラと介入を続ける事で、かえって社会参加を妨げているケースがある」 為とされています。

これは「障害とうまく付き合いながら生きるという気概を持つ為の援助」と「心身機能を維持する為の手段に生活行為(活動・参加)を用いる」という事がリハビリテーションに求められていると解釈できると思います。

 「障害とうまく付き合いながら生きるという気概を持つ為の援助」とは、何らかの疾患を有していたり重複している事が珍しくない高齢者に対して、その症状を完治させる事にセラピストが固執させるような助言・提案やアプローチを行うのではなく、「方法の変更」「自助具・福祉用具の使用」「介助を受けながらの実践」等といった代償手段も有効に活用して活動・参加の機会を得てもらうという事です。

 

徒手的な治療技術に自信のあるセラピストの中には、代償手段の導入を「逃げ」や「負け」と位置付ける方もいまだにいるかもしれませんが、具体的な根拠がなかったり目標達成期限を提示できないのであれば、それは対象者からするとただのエゴなのかもしれません。

 「心身機能を維持する為の手段に生活行為(活動・参加)を用いる」とは、その生活行為に取り組む中で得られる心身にかかる負荷を、機能維持の為のプログラムにしてしまうという事です。我々セラピストは人間の心身の動きを分析する事ができると同時に、行為を分析する事もできます。

どのような行為を行えば、その機能を維持もしくは改善する為に必要な負荷がかかるかを導き出すことが、我々セラピストに求められているのです。

 これらが協会や都道府県士会の開催する研修の中で言われ始めたのは決して最近ではありませんが、まだ十分に浸透していない印象を受けます。

投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。