PT波野優貴の臨床家ノート マットレスの選択をどうするべきか?
みなさんこんにちは。
在宅リハビリテーションケアスクール登録講師の波野優貴です。
今回も、前回に引き続きポジショニングに関連するお話をさせていただきます。
今回は、マットレスについてです。
皆さんは現場においてマットレスをどのように選定されていますでしょうか。
病院であれば、院内で使用されているマットレスで、褥瘡の予防に重きを置きながら選択がなされることが多いことと思います。
在宅現場であれば、福祉用具専門相談員や、ケアマネージャーなどその方にかかわる職種が連携して選定されていることが多いと思います。
では、実際ケアやキュアを必要とされる方々のマットレスはどのように選ばれていることが多いのでしょうか。
私の肌感覚では、現場におけるマットレスの選択にはよくある流れが存在しているといつも感じます。
以下にその流れを示します。
『介護が必要となった時期に動きやすさを重視して硬いマットレス→加齢や新たな疾病などにより、日常生活自立度が悪化→食事などもとれなくなり痩せてきたことで褥瘡が発生→エアマットの使用』
という流れです。
いかがでしょうか。もちろんすべての場所でこのようにマットレスが選択されているわけではありませんが、このように選択されている現状が少なくないのは事実だろうと考えられます。
このような流れでのマットレス選択は褥瘡の発生に対して、後手にマットレスを検討しており、その方の生活に応じたものになっていません。
その方の生活に合わせたマットレス選びをするためには、もちろん褥瘡への対応や動きやすさは重要となりますが、さらに寝心地(心地よい反力と体圧分散、むれの軽減など)にも配慮が必要です。
そのためには、様々なマットレスのタイプを試しながら、あるいは各メーカーで出されているデータなども考慮しながらマットレスのタイプを検討する必要があります。
褥瘡に関しては各種リスクアセスメントスケールがたくさんありますし、それに応じてマットレスを選ぶことができるメーカーも存在します。
(https://taica.co.jp/pla/product/choose/)
体圧分散に関しては寝ていただいた後に実際に手を背中などに入れて強い圧がかかっている部位がないか確認をします。
そのあと、ご自身で動いていただき、動作を阻害していないかなどを確認していきます。
マットレスによる生活への影響を考えると、発生した課題への対応としてマットレスを変更するのではなく、先に述べた要素の中で今のその方の生活では何が一番大事なのかを常々モニタリングしつつ、その時々の状態にあったマットレス選びをしていくことが重要となります。
投稿者
波野優貴先生
理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当