OT浅田健吾の臨床家ノート サービス担当者会議について
在宅分野で活動されている方々は、サービス担当者会議に参加されているでしょうか?
事業所によっては、基本的に管理者の方が出席されて担当療法士は滅多に参加しないという場合もあるようです。
そのような事もあってか、ケアマネージャーの方からは、「療法士の方々はお忙しいので、ほとんど出席してもらえない」というお声を耳にした事もあります。
では、サービス担当者会議は何のために行われるのでしょうか?
目的の1つに『目標の確認と役割の明確化』があります。
その対象者が在宅生活を送る上での課題を確認・共有した上で、その解決を図ったり、支援を行う上での役割分担を行うのです。
役割を分担するのですから、『具体的な生活課題を知る』『課題がどのような形で解決されるかについて協議する:目標設定』事が必要となり、その上で『どの職種・事業所が、利用者に対して何を提供するか協議する:役割分担』が行われます。
また、『サービス提供者同士での連携:相互作用』の在り方についても協議する事が求められています。
このような会議の中で療法士には、「〇か月後にどのような状態になっている」といった『具体的な目標設定の提案』が期待されます。
療法士は、対象者の機能・能力を改善させられる技術と共に、疾患や機能面の予後予測、課題の原因分析能力、環境の扱い方等についての知識を有しています。
ですから、会議の中で対象者本人やケアマネージャーへ向けて「リハを行う事で、〇か月後にどのような状態になっているか」を、可能な限り具体的に伝える事も可能なはずです。
ケアマネージャーはケアプランを作成するにあたって、療法士による目標の具体的提案を重宝してくださる事が多い印象です。
ただし逆を言うと、曖昧で抽象的な目標を伝えられると、プラン作成に難渋してしまう事すらあるのです。
ですから療法士は、会議内で『ただリハ内容の報告』を行うだけではなく、『対象者に必要な目標がどのようなもので、達成までにどの程度の期間を要するか、その目標を達成する事で利用者にどのようなメリットが生じるか:必要性』などについて積極的に発言すべきと考えます。
また、目標達成に向けて他職種や他事業所との連携が必要になる場合も多くあります。より良い連携を取るためには、各職種の専門性や特性等をある程度把握しておく事は最低限必要になります。
連携とは『互いに連絡をとり協力して物事を行うこと』です。ただ情報をやり取りするだけでは連携とは言えません。
目標達成・課題解決の為に、お互いが専門性を活かし合った具体的な協働方法について議論できれば、非常に有意義なサービス担当者会議であると言えるかもしれません。
投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。