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OT浅田健吾の臨床家ノート 更衣動作について その4

訪問リハや訪看リハで在宅にて、いつ訪問しても寝衣・部屋着のまま、もしくはいつも同じ衣服を着用している対象者と関わる事があります。

多くの場合、そういった方は自宅に引きこもった状態であったり、ほとんどの時間を寝室・ベッド周囲で過ごされているのではないでしょうか?

衣服だけではなく整容も不十分で、場合によっては体臭や口臭が気になる方もいらっしゃいますが、ご本人はその事をあまり気にしていない場合も多々あります。

上記にあてはまる方は、活動に対して能動的になれないばかりか、他者を「交流したくない」いう心理状態にさせてしまい、結果的に孤立するリスクが高まると考えます。

この状態は、入院患者と重なる部分が多いと考えています。はだけやすくシワにもなりやすい入院着を数日間着用しっぱなしで、入浴も毎日できないため肌は脂っぽく髪はボサボサ、カーテンを閉め切った病室でほとんどの時間を過ごし、会話するのは職員か家族のみ・・・。

つまり、自宅で入院と同様の生活を送っている方が多くいらっしゃるのです。

更衣や整容という行為は、『他者にみられる自分を意識する』という側面や、『日々のリズム形成』に関与する側面を持っています。

ADLの中では食事・排泄・入浴と比べると、後回しもしくはスルーされやすい傾向にある印象を受けますが、対象者が“生活者”として在宅生活を送る上では非常に重要なのです。

自宅での役割や屋外活動の機会を喪失している対象者と関わる際、療法士や看護師の訪問曜日・時間には『更衣・整容を済ませておいてもらう』といった約束するなどして、機会を作る・増やすという事も1つのアプローチとして大切であると考えます。

投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
セミナー講師

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。