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PT波野優貴の臨床家ノート 福祉用具選定に関わる際のチームの一員としての視点 Part①

前回は、積極的に福祉用具にセラピストがかかわる必要性についてお話ししましたが、今回は福祉用具にセラピストが関わるうえで大事にしたい視点についてお話したいと思います。

特に在宅などで福祉用具選定に関わる際のチームの一員としての視点です。 

日本において福祉用具を利用者の方に初めに選ぶのはどんな職種の方が多いのか、御存知でしょうか。

理学療法士や作業療法士といったセラピスト?

いいえ、違います。

では福祉用具の専門家である福祉用具業者の福祉用具専門相談員?そうであるべきではあるんだと思いますが、実は違うことも多いです。

この答えの正解はケアマネージャーの方になります。

 

ここで先にそれぞれの職種の方の専門性を整理しておきます。

・理学療法士や作業療法士:身体機能や生活機能を見るのが得意(主に体を見る専門家)

・福祉用具専門相談員:福祉用具に関してその使用方法、リスク、その方のニーズに合わせた福祉用具の選定ができる(道具を見る専門家)

・ケアマネージャー:ケアプラン作成を行う、その方の送りたい生活、人生に向けて必要なサービスなどを検討し、提案していくことが得意(その方の人生観なども含めて目標に必要なサポートを検討する専門家) 

ここまで整理すると、福祉用具を選定する際には、各専門家の意見がないと難しいのでは?ということに気が付きます。

そうなんです。

福祉用具を選定するためには、まずその方がどういった生活や人生を送りたいのかを知ること、その目的のために現在どんな体なのかを知ること、目的に向けてどんな道具を使えるのか、その方の体にはどんな道具がマッチするのかをしること、が必要です。

すべての職種の意見が必要なんです。

ではなぜ、ケアマネージャーの方が選ぶという表現をしたかといいますと、福祉用具の選定をする際に、ケアマネジャーの方から、「この商品をお願いします」ということで依頼があることも少なからずあるからです。

これは福祉用具業者があくまでケアマネージャーから仕事をもらうという立場にいるということが原因の一つとも考えられます。

(実際の現場では、そんなにたびたび各専門家の意見を聞いて、検討する時間はなかったり、簡単な用具である場合はものさえあればいいので、という状況はあると思います。)

※私が福祉用具業者にいた時の経験や、病院、老健で勤めていた時の経験から感じていることになりますので、必ずではありませんが、少なくはないのではないかなと思います。 

このことに関しては、制度により仕方ない部分がありますので、どの職種が悪いということは全くありませんが、このことを知っているのと知っていないのとでは、福祉用具選定の場で、私たちセラピストがどんな風に体を見る専門家としてかかわっていくべきかという部分について少し考えておかなければいけないことがあるのではないかなと思います。

次回は、福祉用具にセラピストが関わるうえで大事にしたい視点Part②(レンタルか、購入かについて)をお話したいと思います

 

投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当