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OT浅田健吾の臨床家ノート 訪問リハ・訪看リハの初回訪問時、チェックポイント 他者(家族を含む)との関係構築に関わるリスク』と『介護者に関するリスク』

今回は『他者(家族を含む)との関係構築に関わるリスク』と『介護者に関するリスク』についてお伝えします。

『他者(家族を含む)との関係構築に関わるリスク』とは、「対象者が、自分(セラピスト)も含めた支援者(サービス提供者)との関係の中で生じるリスク」を指します。

例えばご自宅に訪問してきたサービス提供者を、対象者が自身にとって「不要」もしくは「危険」な人物と認識したらどうなるでしょう?

おそらく、サービスの提供に支障が生じる、もしくはサービスを提供できないという事態になるかもしれません。

これはつまり『対象者が、自身にとって本来必要なサービスを受け続ける事に関わるリスク』ということになります。

在宅場面では、入浴介助や転倒対策の拒否という形で生じることが多い印象があります。

サービス提供に難渋する場合は、その提供方法の工夫について議論を重ねることも必要ですが、無理に提供を進めることによってご本人のストレスを高めてしまい、他サービスならびに人間関係構築の阻害へ影響が及んでは困ります。

その為、家族やCMに相談する際は「ご本人らしく生活するために必要な支援は何か?」「ご本人が不安・ストレスを抱える関わりとは何か?」といったご本人のwell-beingを寄り添う関わり・支援という本質に立ち返り、周囲が必要と感じるサービスを「なんとか受けさせる」という議論にならない注意しましょう。

 次は、『介護者に関するリスク』についてです。

介護現場では、事前のイメージと実際が異なるといった事が当たり前のように生じます。

ご家族をはじめとする支援者の中には、SOSが出せない人もいれば、SOSを出していいのかわからない人も存在します。

ですから、専門職は、「その時点での介護者の負担がどの程度か ※安全に、一定の余裕をもって行えているか?」という側面のアセスメントもしっかり行い、必要に応じてSOSの出し方や発信先の助言を行う事も必要です。

こういった問題は、退院・退所から1か月程度で現れやすい問題と考えます。

退院前のカンファレンスではご本人の状態や支援方針と合わせて、介護を行うご家族の状況や、受けている指導の内容等についても確認が必要でしょう。

また、可能であれば初回訪問時は前後のスケジュールに余裕も持たせて、ご家族からのお話を伺う時間を持てれば、「ご家族の介護負担感増加により、ご本人に必要な介護が提供されない」という事態を未然に防ぐことにも繋がると考えます。

投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。