在宅という環境の理解の重要性
皆さまは在宅という言葉と環境という言葉を聞いた時にどのようなことをイメージしますか。
恐らく多くの方は家屋評価ということを思い浮かべるのではないでしょうか。
今回から説明する環境というものは『在宅』そのものの環境を示します。
この環境を理解せずにリハビリテーションを行うことで様々なことに支障に来すことになります。
私も在宅でのリハビリテーションに関わるようになった当初はこのような点を全く考えずにリハビリテーションを行っていました。
しかし、在宅に関わる期間が長くなればなるほど疑問に感じることが多くなっていきました。
それは病院内では上手く進んでいたリハビリテーションが在宅になると上手くいかないのです。
実施しているプログラムに関しても病院内と在宅で同じことを行ったとしても結果に差が生じるようになりました。
そこでプログラム以外のことにも視点を向けるようになり、今回から説明をさせていただくリハビリテーションを行う『環境』自体に大きな差があることに気付きました。
はじめに大きな違いとしては、病院内と在宅(自宅)では対象者の方が毎日過ごしていく中で優先順位に違いがあるということです。
病院内ということは、入院をしています。入院中は『治療』が第一優先になります。
一方、在宅ではどうでしょうか。在宅でもかかりつけ医に月一度受診することもあり、現病歴や既往歴に対して治療を行っている方もいますが、何より『生活』が第一優先になっています。
治療という項目は何かの病気や怪我に対しての治療ということで目的が明確になっています。
しかし、生活という項目は人それぞれ生活習慣があり、また、人それぞれに価値観や基準の違いもあります。
よって、生活という言葉は一つですが、娯楽を第一優先に考える人もいれば、運動を第一優先に考える人もいます。
このように第一優先となるものが人によって違いがある中でリハビリテーションを行っていくので、セラピストが現状としてはこの運動が一番大切と思っていても対象者は運動より家事をすることが一番大切と思っていることもあります。
この環境を理解し、在宅で過ごしている対象者が現在何が一番の優先順位になっているのか評価した上でリハビリテーションの進め方を検討していくことが大切になります。
投稿者
小池隆二先生
理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役