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各認知症における症状の特徴 -血管性認知症-

血管性認知症は脳血管障害を原因とした認知症で、すべての認知症の中では2番目もしくは3番目に多いタイプとされています。

障害される脳領域によって症状が多岐に渡るとともに、Alzheimer型認知症(以下、AD)・Lewy小体型認知症・前頭側頭葉変性症をあわせた4大認知症の中では、唯一“変性疾患”では無い認知症であるという特徴があります。 

血管性認知症はNINDS-AIREN診断基準で複数のタイプが示されており、高齢者に生じる血管性認知症の中では、ラクナ梗塞性認知症やビンスワンガー病などの『小血管病性認知症』が最も多いと言われています。

記銘力低下が生じても判断力は正常なケースや、症状の日差・日内差が目立つといった、いわゆる「まだら認知症」の状態が多くみられるのが特徴的です。

記憶の問題については、本人が自覚しているという部分でADと違いがあります。

また、ADの場合は『食事を摂ったこと自体を忘れてしまう』ようにそのエピソードに関する記憶が全て抜け落ちるのに対し、血管性認知症の場合は(特に初期では)、『食事したこと自体は覚えているが、おかずが何であったかを思い出せない』といったように、一部の記憶が欠落すると言われています。

 身体的な側面では、頭痛・めまい、上下肢の感覚障害・運動麻痺、構音障害、咀嚼・嚥下機能の低下、意欲低下、感情コントロールのしづらさ(感情鈍麻、感情失禁)、動作緩慢などを伴う場合も多くあります。

 最近では、この血管性認知症とADを併発しているケースが多くなってきているとも言われています。

そのため、血管性認知症は一般的に、脳血管疾患の再発で階段式に症状が増悪・発生すると言われていますが、実は潜んでいたADによって緩徐な進行を辿るというケースも珍しくありません。

 投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。