OT浅田健吾の臨床家ノート 目標設定のポイント 対象者と設定する目標
皆さんは対象者の目標を、対象者本人と共に設定していますか?
Maitraらよるとでは、対象者に目標についての説明を十分に行ったとする作業療法士が100パーセントに対し、作業療法の目標が全く分からないと答えた対象者は23パーセントだったとされています。
また、意思決定を一緒に行ったとする作業療法士が90パーセントだったのに対し、意思決定には全くかかわっていないとする対象者は46パーセントもいたようです。
「Maitra, K. K,et al:Perception of client-centered practice in occupational therapists and their clients. American Journal of Occupational Therapy 60, 298-310.2006」
看護分野では「看護師は患者の展望に必ずしも気づいているとは限らず、看護ケアにおける意思決定に患者が参加できていない」ということが文献で指摘されています。
「Florin J, Ehrenberg A, Ehnfors M. Patientparticipation in clinical decision-making in
nursing -A comparative study of nurses’ andpatients’ perceptions-. J Clin Nurs, 2006; 15:
1498-1508.」「Elo S, Saarnio R, Routasalo P, Isola A.Gerontological rehabilitation nursing of older
patients in acute health centre hospitals-nursing views-. Int J Older People Nurs,2012; 7 : 46-56.」
リハビリテーション総合実施計画書等の内容を説明し、サインを得たからといって、目標設定に対象者が参加したか、納得したかというと、必ずしもそうではないという事がわかりますね。
対象者が治療やリハビリテーションに意欲的に取り組むには、生活課題や目標を『我が事』と認識する必要があります。
その為には、目標を検討するところから対象者がその場にいないといけないんだと私は考えてます。
対象者本人がいない所で、対象者の事を決めるなんておかしいですよね?
自分が生活していく上での課題が何であるかを確認し、課題解決に必要なプロセスを知り、解決までの方策を自己選択する。
この流れの支援も、我々セラピストの重要な役割だと考えます。
対象者さんの意欲や協力度が少し変わるかもしれませんので、是非、試してみてください。
目標設定の重要性については、こちらの書籍もご参考になさってください。
『リハビリテーション職種の在宅リハビリ・ケア』株式会社シービーアール
https://cbr-pub.com/book/075.html
投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩
平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。