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PT楠貴光の臨床家ノート 肩甲骨の機能を運動学的に考える その2

肩甲骨機能の評価では、実際に肩鎖関節、胸鎖関節でどのような運動が生じているのかを明確することが大切です。

そこで今回は、肩鎖関節の運動をおさらいしてみましょう。

まず、「肩鎖関節」を軸として肩甲骨は、3つの軸で運動が可能です。

・上方回旋/下方回旋

・前傾/後傾

・内旋/外旋

上方回旋/下方回旋、前傾/後傾と比較して、内旋/外旋の運動は、少しイメージがつきにくいのでないかと思います。

運動軸は1つです。

一度、肩鎖関節に床面に対して垂直方向に運動軸を引いてみて下さい。

「肩鎖関節を軸として肩甲骨が内旋する。」=「上肢下垂位で肩関節が内旋する。」

反対に「肩鎖関節を軸として肩甲骨が外旋する。」=「上肢下垂位で肩関節が外旋する。」

運動軸に対して、回旋する方向は、上肢下垂位での肩関節の内旋/外旋運動と同じと考えるとわかりやすいです。

この肩鎖関節での内旋/外旋は、楕円形をしている胸郭の形状を考えても、肩甲胸郭関節で肩甲骨が円滑に動くためには重要な運動です。

特に肩関節の水平内転や水平外転などの水平面上での動きには、肩鎖関節での内旋/外旋の運動が深く関わってきます。

多くの運動が複合して構成されているのが、肩甲骨機能です。

ひとつひとつの運動を整理し、理解することで、日々の臨床での肩甲骨機能に対する評価、治療が深まっていきます。

投稿者
楠 貴光先生

六地蔵総合病院 リハビリテーション科
上肢機能に関する学会・論文発表が多数
臨床と研究を組み合わせて高いリハビリテーション効果を出している若手臨床家