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認知症診断後の支援について

超高齢社会となり、医療現場において認知症を有する方と接する機会は決して珍しくありません。

こうした対象者の方々に、我々はどのような支援を行うべきなのでしょうか? 

過去には、早期の診断と治療開始に関心が集中していましたが、それだけでは認知症の方ならびにそのご家族が抱く負担・不安を軽減し難いことが指摘されるようになりました。

そこで、認知症の診断を受けた早い段階から、生活を送るうえで役立つ知識や社会資源に関する情報を提供するといった取り組みが推奨されるようになってきています。 

すでにこうした取り組みを行っている他国では、以下のような要素が配慮されています。

 ① 疾患の特徴や、その対処方法が理解できるような指導を行う。また、医療機関での治療にのみ依存するのではなく、当事者が持つインフォーマルな資源・強み(環境因子)を活用して支える。

 

② 認知症の方が元々参加していた所属(例:職場、老人会など)との繋がりが維持できるように努めることで、孤立の回避や、QOLの向上を図る。さらに、介護サービスへの依存を減少させる。

 

③ 当事者間での繋がりや地域資源(例:認知症カフェなど)を用いることで、同じ困難に直面する者同士での共感や情報交換を促し、認知症と付き合いながら生活していく気持ちを維持する。

 

④ ご本人の将来に関する希望を文書などに残すための支援を行う。

 

⑤ ご本人自身の展望により、自身が受ける介護の在り方を計画するための支援を行う。

 上記から、認知症の方に対する支援では『人と人との繋がり』や『対象者ご本人の意思決定』が重視される風潮となってきていることが読み取れます。 

意思決定については、厚生労働省が『認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン』において、その必要性や方法を示しています。

パターン化された正解の無いからこそ、こうしたガイドラインも活用して、ご本人・ご家族の意思を中心に置いた支援を意識なさってみてください。

投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。