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PT楠貴光の臨床家ノート 肩甲骨の機能を運動学的に考える その23 肩甲骨機能について

上肢の挙上動作を評価する際、肩関節と肩甲骨機能に対する評価をおこないます。 

肩甲骨機能の評価では、肩甲骨の空間上での位置関係を評価するのみではなく、実際の関節運動がどのように生じているのかを考えることが重要になります。 

例えば、空間上の肩甲骨の傾き(多くの場合は、肩甲棘の傾斜角度の変化)から、肩甲骨関節窩は上方を向いているのか?

肩甲骨関節窩は下方を向いているのか?というように、肩甲骨の上方回旋や下方回旋が、どの程度生じているかを評価すると考えられます。

 このように空間上での肩甲骨の傾きの程度を評価した場合、以下の点についても考慮する必要性があります。

 立位や座位姿勢の状態から体幹の側屈や傾斜が生じていないか。

また、上肢の挙上動作中に、非挙上側への体幹の傾斜や側屈が過剰に生じていないか。

体幹や股関節の運動によっても、空間的な肩甲骨の上方回旋角度の変化を作り出す要因になります。

 そのため、空間的な肩甲骨の位置に着目するのみではなく、実際に胸郭に対して肩甲骨の上方回旋が、どの程度生じているのかを確認する必要性があります。

さらには、肩甲胸郭関節の運動としてのみならず、胸鎖関節、肩鎖関節でどのような運動が生じているのかを考える必要があります。 

このよう、体幹部の影響による空間的な位置変化も考慮することによって、肩甲骨の運動を正確に捉えることができると考えられます。

 

楠 貴光先生

園部病院リハビリテーション科
神戸リハビリテーション福祉専門学校理学療法学科 臨床講師
上肢機能に関する学会・論文発表が多数
臨床と研究を組み合わせて高いリハビリテーション効果を出している若手臨床家