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在宅における認知症利用者への対応のポイント

超高齢社会となり、在宅現場でも認知症を呈する方(もしくは認知症の発症が懸念される方)を対応する機会は非常に多いと思います。

今回は、認知症の方を対応するにあたってリハ職の皆さんが留意しておくべきポイントについて解説いたします。 

高齢者を担当することの多い在宅現場では、介入開始時には問題がなかったとしても、介入を継続する中で認知症が疑われ始めるといったケースが少なくないと思います。

そんな中で、早期の段階で異変(認知機能の変化)に気づき、適切な医療機関に繋ぐことも我々セラピストの重要な役割であると考えます。

そういった早期発見や早期診断には『高齢者総合機能評価(Comprehensive geriatric assessment:CGA)』が高いエビデンスを持って有効とされています(下図)。

CCAとは、高齢者の状態を医学的評価以外に、生活機能面、精神・心理機能面、社会・環境面を含め包括的に問題整理する方法です。

このCGAは、認知症患者に対する包括的医療の実践にも一定のエビデンスが示されています。

CGAは馴染みが薄いといった方も多くいらっしゃるかもしれませんが、ICFの考え方で対象者さんの全体像を包括的に捉え、生活や心の有り様にもアセスメントを深める習慣があるリハ職にとっては、決して苦手な方法ではないと考えます。

また、認知症の方のBPSDにはコリンエステラーゼ阻害薬や抗精神病薬が有効とされている一方で、在宅医療の方が病院と比べてBPSDの出現が少なく、抗精神病薬の使用も少ないと言われています。

投薬は介護負担感の減少は見込める一方で、副作用にも注意が必要となります。

 認知症対応が早期から開始されれば、その対象者さんが自身にとって適切な在宅生活を送ることによって進行を遅らせたり、投薬に頼らず非薬物的な関わりでBPSDに対処できる場合があります。

上記のように、リハ職の強みを『早期発見』に役立てることも、是非意識してみてください。

投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。