OT浅田健吾の臨床家ノート 訪問リハ・訪看リハの初回訪問時、チェックポイント 活動・行為に関わるリスク
今回は、『活動・行為に関わるリスク』についてお伝えします。
活動・行為の中で特に予測されやすいリスクには、転倒があると思います。
その他には、入浴では沈溺、屋外歩行であれば交通事故、家事動作であれば物品操作中のケガや火事など、在宅生活にはリスクがたくさん潜んでいます。
在宅において活動・行為に関わるリスクを予測・回避する為には、まず「その活動・行為の実践される環境が、本人の動作方法や自立度とマッチしているかを確認する」必要があります。
例えば、入院中にリハビリテーション室の訓練用調理台にてお味噌汁を作れた左側片麻痺の方がいるとしましょう。
火や包丁の取り扱い以外には、コンロに対するワークトップ(主に食材を切ったり物を置いたりするスペース)の向きや広さが違うだけで、調理という行為の一連の流れが大幅に変わる事があります。
その場合、物品を把持もしくは操作しながらの移動や方向転換で失敗(転倒、物を落とすなど)の生じやすさにも差が出る可能性があります。
その為、動作の自立度は「限られた環境下での自立」なのか「一定の環境変化にも適応できるだけの応用力を兼ね備えた自立」なのかを考える必要があります。
勿論、病院では自宅環境を念頭においた環境下で評価・訓練が行われているはずですが、実際環境との微妙なズレによりリスクの生じる可能性はあります。
その為、訪問系のセラピストは退院前カンファレンスやサマリーの情報を鵜呑みにして、実動作の確認・評価を怠ることの無いよう注意しましょう。
また、特に家事動作については他の家事と連続して、もしくは並行して行われることも多くあります。
セッティングされた環境下での評価場面とは異なり、動作への集中度や慎重さが変化している可能性もありますので、どのような状況下で行為が行われているかを細かく聞き取るようにしましょう。
また、生活環境はその時々の生活状況や能力変化等によって、本人・家族の判断で何気なくレイアウトを変更される事もあります。
そのような事態に備え、重要な生活行為は何パターンかの環境下で評価を行い、必ず抑えておかねばならない『リスク回避の為の要素』を拾い上げておくと良いでしょう。
(例:左半側空間無視の影響で、横方向への移動や振り返りの場合は左側に注意が必要 → 調理器具やキッチンに対するテーブル(料理の運搬先)の配置等における注意点を伝えておく)。
投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩
平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。