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PT小池隆二の臨床家ノート『訪問現場の実際』 呼吸器疾患に対する視診のポイント③

今回は、在宅現場における『呼吸器疾患に対する視診のポイント③』を説明していきます。

 ≪下記に該当する方は参考にしてください≫

〇呼吸器疾患の評価に対して苦手と思っている方

〇呼吸器疾患に対する評価で視診はあまり重要視していない方

 

【呼吸器疾患に対する視診のポイント③】

端座位における呼吸状態を理解する

前回、視診のポイントとして姿勢を変化させ呼吸状態を評価するということをお伝えしました。今回は端座位における姿勢と呼吸のポイントを説明していきます。

 端座位は言葉としては一つの表現になりますが、皆さんもご存じの通り様々な端座位があります。背もたれにもたれている(もたれていない)、足部が床に着いている(着いていない)、胸腰椎後湾が増大している(円背)、座面が硬い(柔らかい)、このように人それぞれの端座位があるので、呼吸状態を評価する以前にどのような状態と環境で端座位保持をしているのか評価してください。 

なぜ上記のように様々な状態や環境を提示したかと言いますと、前回もお伝えしたように姿勢により呼吸状態が変化するからです。

端座位で視診を行うときに注目しているポイントは背もたれにもたれず足部が床に着いた状態で端座位保持が楽に出来ているかということです。

 私は臨床の中で姿勢保持は静的、呼吸運動は動的なものと捉えており、動きのみを考えた時には全く相反するものだと思っております。

また、姿勢保持と呼吸運動で使用する筋肉は同一のものが多く、臨床現場でも散見されますが、姿勢を保持しようとして頸部や体幹の筋活動が多くなると同一の筋を選択的に呼吸運動に使用することが難しくなります。

このことは嚥下にも同様のことが言えます。

端座位という姿勢のみを考えると前回お伝えした背臥位と比較し、さらに腹部臓器が下肢側に下がるので、横隔膜を圧迫するものが除去されるため、基本的には吸気は行いやすくなります。

しかし、基本的にはと伝えたことには意味があり、端座位保持が可能であったとしても前述のように胸腰椎後湾が増大(円背)すると前胸部と腹部の距離は短縮し、結果として腹部臓器により横隔膜は圧迫されます。

また、吸気時の胸郭の運動方向を考えると上部胸郭は前上方、下部胸郭は外側方向にそれぞれ拡がるようになりますが、胸腰椎後湾増大の姿勢は皆さんも一度行うと理解出来ると思いますが、強制呼気の姿勢になり、呼気には適しているが、吸気には不向きな姿勢になります。

結果として吸気時に頸部などの呼吸補助筋を使用している方にとても多く遭遇します。 

座面の硬さに関しても柔らか過ぎると姿勢保持への筋活動が優先され、呼吸運動に不向きなものになるが、座面の硬さに関しては臀部の皮膚状態も考慮した上で決定する必要があります。

 今回は端座位における姿勢と呼吸のポイントをお伝えしましたので、次回は立位における姿勢と呼吸のポイントをお伝えします。

 

 投稿者
小池隆二先生


理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役