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PT楠貴光の臨床家ノート 肩甲骨の機能を運動学的に考える その16

今回は、肩甲骨の触診について考えてみたいと思います。

・肩甲棘
・肩甲骨の内側縁
・肩甲骨の外側縁
・肩甲棘内側端
・上角/下角
・肩峰外側端(前、後)

これらのランドマークをしっかりと触診できることが大切と考えます。

肩甲棘の傾きや肩甲棘内側端、下角の位置を確認することで、おおまかな肩甲骨上方回旋角度を把握でき

肩甲骨内側縁・外側縁の触診は、他動的に肩甲骨運動を誘導するために重要です。

肩峰前外側端をしっかりと触診することは、肩鎖関節の触診にもつながっていきます。
また、肩峰後外側端は、上肢長の計測する基準点となりますね。

これらのランドマークをしっかりと捉え、肩甲骨を触診することで胸郭上での位置関係を把握することができ、ここには付着する筋も多いことからも肩甲帯の可動域練習や肩甲骨周囲筋のストレッチングをおこなうことにもつながります。

また、肩甲骨を他動的に動かす際には、楕円形をしている胸郭上を肩甲骨が動くということをイメージしながら誘導することもひとつのポイントになると考えます。

さらには、座位や立位、背臥位、側臥位姿勢など、あらゆる姿勢でしっかりと肩甲骨を触診、評価できることも大切です。

急性期で離床が困難な患者様には、背臥位、側臥位姿勢での評価・治療が必要であり、立位姿勢での上肢の操作が困難な患者様には、立位姿勢での評価・治療が必要になります。


安静度や、必要となる動作特性に応じた姿勢での治療介入が必要な場面が、臨床では多くあります。

このように肩甲骨を何気なく触るのではなく、まずはこれらのランドマークの触診から、意識してみることで、問題点の見え方も変わってくるのではないでしょうか。

 

楠 貴光先生

園部病院リハビリテーション科
神戸リハビリテーション福祉専門学校理学療法学科 臨床講師
上肢機能に関する学会・論文発表が多数
臨床と研究を組み合わせて高いリハビリテーション効果を出している若手臨床家