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PT山口剛司の臨床家ノート その17 扁平足へのアプローチ

今回は、扁平足に対するアプローチについて、ご紹介したいと思います。

考え方としては、下がっているアーチを単純に挙げる・・・ということではありません。

扁平足は、足部の骨形状が破綻をきたした状態であり、通常では床から離れている骨、わかりやすいところでいえば、第一中足骨や内側楔状骨、舟状骨などが、床に接地するか否かの位置まで降下している状態を呈した足のことをいいます。

こういった足は、やはり体重によって足に荷重する際に十分に支える力が発揮できないことがあります。

これは、足の形状を荷重負荷から保つためにある程度の骨・靭帯の緊張による剛性が必要であり、足の形状を保つことによって、床からの反力を身体の上方へ伝達する役割になっているからです。

足の形状を保つのにも足部周囲の内在筋や外在筋の筋機能により、足の形状を安定化を補助する役割がありますが、扁平足などの形状を呈していると、筋機能による作用はより多く必要とされることが想定され、疲労も生じやすいと考えられています。

扁平足がすべて悪いわけではありませんが、非常に柔らかい足で、足の内側の骨が完全に接地しているようなタイプは、やはり不利な状況であるのは間違いありません。

この場合は、インソールが大きな役割を果たします。

しかし問題なのは、不完全な隠れ扁平足とでも言いましょうか・・・内側アーチはしっかりとした形状を保ちつつも、回内方向に大きく動いてしまうタイプが臨床では多くみられます。

この場合は、アーチを支えればよいという短絡的な考えは良くない結果を招く危険性があります。

どの扁平足のタイプも結局は、足部周囲筋の筋機能の改善が大変重要な役割を担っていることは間違いありません。

そのため、アプローチはただ単に物理的に【アーチを支える⇒✖】という考え方は、私は否定的です。

むしろ、最小限の支えで筋機能を支援するという考え方を持つべきです。

例えば、内側アーチを高めるには、回外運動を促すことが必要で、これは筋でいえば前脛骨筋や足趾屈筋や長母趾屈筋などの内反筋群の機能を高めることが重要です。

このように形状を作っている筋肉は何なのかを明確にするとアプローチする方法は自然と浮かんできます。

その際は、運動学、つまり骨格筋と関節運動を考えると正解に近づくといえるでしょう。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

Altruist 代表
理学療法士
フットケアコンサルタント

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。