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OT浅田健吾の臨床家ノート 更衣動作について その6

日常生活における“更衣”は、清潔や身体保護、自己表現以外に、生活リズムの構築や社会参加促進の要素にもなり得ると言われます。

1つ1つの生活行為は連続して成り立っており、様々な側面へその影響が波及すると考えられるので、更衣という生活行為もまた、他の生活行為・作業活動、その人の暮らし全体を変化させるきっかけになり得ると考えます。 

一般的に更衣は、『用事があるので、その準備の為に着替える』という場合が多いと思います。

病院では病衣もしくは寝巻・ジャージ等を着用する事や、自力での更衣が困難な方は介護職員が更衣を介助してくれる事が“当たり前化”しており、この事が影響してか退院支援の中で更衣は他のADL動作と比べて興味関心を寄せられる事が少ない印象です。

しかし、実際の在宅においては介護者の大きな負担に繋がっている事は少なくありません。

やむを得ず他のADLより後回しにされ、年中部屋着で過ごしたり、時には清潔とは言い難い衣服に身を包みながら日々を過ごす方を目にする機会はきっとあるはずです。

そのような状態で、活動・参加に対する意欲を高める事は出来るでしょうか?活動・参加を目指す心構えを持つ事は出来るでしょうか?

着替えて身なりを整える事で、これから用事をしようという気持ちを引き出す。

このようにして“更衣”は、1つの手段として生活不活発や寝たきり・引きこもりの対策に用いる事ができると考えます。

投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
セミナー講師

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。