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PT山口剛司の臨床家ノート その14 足部の荷重を評価する

これまで、足部評価に必要な動作分析のポイントとして、4つの動作のみかたを中心に足をどう捉えるかを述べてきました。

次に足を実際触って、どんな足なのかをたしかめていく作業を説明していきます。

つまり足の運動機能と、4つの動作との関連性を解くという思考回路が必要です。

具体的には、片脚立位の評価において、回内運動が多くみられ、足部内側(母趾側)での荷重が強調されている場合は、膝が内に入る運動(knee-in)を認め、股関節の外転筋機能が十分に発揮できないケースがあるとします。

この場合は、なぜ母趾側ばかり強調してしまうのか? を考えるのですが、同時になぜ小趾側には荷重しないのか? できないのか? ということも考えます。

小趾側に荷重するために必要な機能は、

・距骨下関節の回外方向への可動性があること

・第5中足骨の安定性があること

・内反小趾の有無、小趾外転筋と短腓骨筋の筋機能があるか

大きな要素としては、これくらいです。そのほかにも細かい点はさらにありますが、とりあえずはこれらの条件が揃えば、小趾側に安定して荷重することができます。

よく母趾球荷重を意識させるということをトレーニング業界では耳にしますが、完全に間違えているケースも少なくありません。

母趾側荷重で、むしろ障害を誘発してしまうケースもあることを理解しないといけませんし、安直に少ない知識でトレーニングをさせるほど、怖いものはありません。

世間では、何かとトレーニング・・・という健康ブームが到来していますが、運動を指導する立場の人間は、同時にリスクも考えねばなりません。

次回は、小趾側荷重の機能のための徒手検査を説明します。

執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister

Altruist 代表
理学療法士
フットケアコンサルタント

足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。