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OT浅田健吾の臨床家ノート 福祉用具・自助具において療法士が果たすべき役割

作業療法士として私個人が“福祉用具選定”や“自助具提供”で気を付けている事に触れてみたいと思います。

 まず前提として押さえておくべき事です。

■ 既成製品の種類が豊富になり、品質も向上している。

TVや書籍で、健康や便利グッズがテーマに取り上げられる機会は増えている。

■ インターネットで、簡単に情報を得ることができる。

■ 介護保険を利用しての福祉用具貸与については、行政からの指摘が厳しくなりつつある。※給付費の削減

以上から、『福祉用具業者への依頼と、用途・手順の確認のみ』しか行っていないようでは、わざわざ療法士を利用する事のメリットを患者・利用者やケアマネージャー等の他職種に感じてもらうことは出来ません。

 では、療法士に期待されている役割とは具体的にどのような事でしょうか?私が思うのは、以下の通りです。

◆病態、心身機能・動作能力、環境、個人特性等との“マッチング”(障害のみでは無い、包括的な視点)

◆その道具を使用して活動する事に、自立支援の要素が含まれる(生活上の実用性、治療的効果、段階付けの

視点(〇〇できるようになったら、△△に変更など)

◆福祉用具業者との相互作用(類似品や新製品の紹介を受ける、意見書の内容提案、デモ使用期間での評価等)

 『導入したのは良いが実際は使用されていない』『動作は可能だが、生活は特に変わっていない』『一般的に良しとされる高さや配置の伝達』…これらに覚えはありませんか?

お恥ずかしい話ですが、私はすべて経験があります。

当時はこのような事態が起こっている事にすら気付けていなかったかもしれません。

しかし、現在になって振り返ると思い当たる事がいくつかあるのです。 

機能・能力や生活課題を表面的な部分でしか評価できていなければ、安易かつ不適切な道具活用に繋がってしまい、結果として患者・利用者の健康を損なってしまう可能性は十分にあるのです。

福祉用具や自助具についても、慎重さや緻密さが必要ですね。

 

投稿者
浅田 健吾先生
イーリハ東大阪訪問看護ステーション
セミナー講師

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、平成29年より(株)コンパス イーリハ東大阪訪問看護ステーションでの勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。