歩行補助具の選び方
歩行補助具には杖、シルバーカー、歩行器など様々な種類、そして商品があります。
どのようにして歩行補助具の選定にかかわっていけばよいのでしょうか?
リハビリテーション提供施設(主に病院等)では、対象者の歩行能力に合わせた選定が中心となると思います。
(歩行補助具の目的である、安定性の向上、荷重や疼痛軽減、歩行効率向上が選定理由となります)
しかし、生活期(主に在宅等)ではそれだけではうまく使用できないことも多々あります。
環境や、生活習慣の違いがその最たる理由になります。
例えば
歩行器を使用していた方が在宅でそれを使用しようとした際に、細かな敷居が邪魔でうまく使用できなくなった
屋外で歩行器を使用していたが、在宅に帰ってから簡単な畑仕事の後に収穫したものを運ぼうとしたところ籠がなく困ったことで外出しなくなった
等があります。
こういったことを防ぐためには、当然環境と生活習慣に合わせて用具の検討が重要になります。
しかしここで問題となることは、環境や生活習慣に合わせることと、対象者の歩行能力に合わせることが相反してしまうことがあるということです。
歩行器を使用すべき心身機能ではあるが、環境的に難しいなどです。
ここで忘れてはいけないことは、そもそも歩行補助具の目的は何なのかということです。
3つの歩行補助具の目的を果たせないのであれば、それを使う意味はほぼありません。
そういった意味で考えると、歩行補助具の選定は階層構造で考えるべきとも言えます。
第1段階として、歩行補助具の3つの目的を果たすことができるか
第2段階として環境や生活習慣にマッチしているかです。
この2段階をしっかりと満たす方法を検討するためには、広い視野で、たくさんの引き出しが必要となります。
そのためには、当然第1段階のみの狭い視野での検討だけではなく多職種と建設的な議論を繰り返し、第1、第2段階ともに満たせる方法を検討していくべきと考えられます。
投稿者
波野優貴先生
理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPO
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当