PT小池隆二の臨床家ノート『訪問現場の実際』 終末期リハビリテーション⑤ 何のための関節可動域運動なのか?
≪下記に該当する方は参考にしてください≫
〇これから終末期に関わりたいと思っている方
〇終末期にリハビリテーションが必要なのか分からない方
【終末期リハビリテーションのポイント⑤】
何のための関節可動域運動なのか?
今回は終末期においてなぜ関節可動域運動を実施するのかを説明していきます。
【関節可動域運動】
皆さまは日々の臨床の中で関節可動域運動を実施しない日はないのではないでしょうか。
私も訪問に回っている日を考えると関節可動域運動を一回も実施しなかったという日はありません。
では皆さまはどのような目的で関節可動域運動を実施していますか。
おそらく多くのセラピストの方は関節可動域が制限され、動作に影響があるので、これらを改善する為に治療プログラムの一項目として実施していると答えると思います。
では終末期においても同様の目的で実施するのでしょうか。
答えは間違いではありませんが、前述した目的以外に終末期に関わるセラピストとしてもっと考えておかないといけない目的があります。
それは『目の前の方が亡くなった時に不要な拘縮がない』ということです。
セラピストであれば拘縮を生じさせないということは当たり前のことと感じるでしょう。
しかし多くのセラピストは動作に影響を与えるので、拘縮は生じさせてはならないと思っていますが、終末期においては亡くなられた後のことまで考えなくてはありません。
亡くなる直前まで必死に『生きる』ということに挑戦していた方に対し、棺桶に入る時にも頑張らさせるのでしょうか。
例えば、股関節外転、外旋の拘縮が生じた方が棺桶に入る時には身体が棺桶に入るように無理やり押し込まれます。
このような状況を知ったとして皆さまはどのようなことを感じますか。
終末期では心身機能やADLの改善はないことが多いのですが、終末期で関節可動域運動を実施することはとても重要な役割になります。
皆さまも一度日々実施している関節可動域運動の目的や役割を考えてみてはいかがでしょうか。
投稿者
小池隆二先生
理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役