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PT波野優貴の臨床家ノート リハビリテーションと福祉用具

皆さんこんにちは。

在宅リハビリテーションケアスクール登録講師の波野優貴です。

私の臨床家ノートでは、主にセラピストが福祉用具に関わる上で気を付けるべきことをお伝えできればと考えております。

臨床現場で、どの程度福祉用具に関わる機会がありますでしょうか。

実際に理学療法士協会が行った調査においては、通常関わる利用者、患者の約半数が福祉用具に関するかかわりが必要となっている中で、選定や、使用練習に関わることが多いという状況となっています。

それに比べて選定後のフォローアップに関わることは少なくなっている状況があると結果が出ています。

関わっていない方々の理由には「該当する利用者がいない」等の回答も多く、依頼もないとの結果もありました。

ここには調査の考察の中にも該当する利用者がいないのではなく、該当する利用者としてとらえきれていないのではないかとも考えられるとありました。

他職種から依頼もないということは、このままでは理学療法士、作業療法士(調査は理学療法士ですが)が福祉用具に関わる機会そのものがどんどん少なくなっていってしまうのでは無いかと危惧があります。

私のセミナーでもお伝えしていますが、福祉用具を日本において初めに選ぶのは多くの場合ケアマネージャーです。

ここには本来であれば、福祉用具専門相談員が用具と環境へのマッチングについて、セラピストが身体状況と生活のマッチングについて、ケアマネージャーがトータルな方向性について、それぞれの視点を持ち寄り話し合いを行ったうえで決定され、モニタリングされて行くべきと思います。

福祉用具はあくまで、道具です。

使用方法や対象者を間違えればうまく効果が発揮できません。そればかりか、その一回の失敗で利用者様が尊厳を失ってしまうかもしれません。

そうなればもう、機能訓練どころの話ではなくなってしまいます。

私も含めてですが、在宅、病院、施設において自身から積極的に用具による環境整備に関われているかどうか常々自問自答が必要かと思います。

次回は、福祉用具にセラピストが関わるうえで大事にしたい視点についてお話したいと思います。

参考:福祉用具・義肢・装具支援に関する啓発と実態調査~福祉用具編~調査対象 会員 報告書 平成30年3月 日本理学療法士学会 日本支援工学理学療法学会

投稿者
波野優貴先生


理学療法士
福祉用具プランナー
シーティングコンサルタント
勤務先
◯株式会社SOMPOケアネクスト
地域包括ケア推進部生活リハビリ推進グループ
◯大阪府立大学 非常勤講師
福祉用具論の一部を担当